その歴史観に対する内外からの批判に,安倍氏が従来からの「信念」とは違う言葉を語らずにおれなくなっている。
とはいえ「信念」そのものが変わったわけではもちろんない。
中韓との首脳会談再開は結構なことだが,「玉虫色」の「あいまい戦術」で,どこまで安定した関係がつくれるものか。
必要なのは,はっきりとした謝罪と清算である。
その一方,アメリカは自身の国益のために日本を活用することに執着している。
背後には,東アジア市場の獲得をめぐる,米日欧の競争という経済問題もある。
「安倍晋三首相と中国、韓国首脳が8、9両日に行う会談で、靖国神社参拝など歴史認識問題を『克服』していくとの認識で一致することが固まった。これにより、中韓両国は、安倍首相が自らの参拝自粛を事実上表明したと受け止め、今後の関係改善を加速することで合意する方向だ。複数の日中、日韓関係筋が5日明らかにした」。
「ただ、首相は今後も靖国参拝に関して明言を避ける『あいまい戦術』を維持する意向で、日本と、中韓側がそれぞれ都合よく解釈できる“玉虫色”の決着となる」。
「中韓両国は、これまでの外交当局間の事前交渉で、小泉純一郎前首相の靖国参拝で途絶えた首脳会談を再開させるには、安倍氏の「自粛姿勢」の明確化が必要と主張していた」。
「このため、谷内正太郎外務事務次官は9月25日の戴秉国・中国外務次官との会談で、安倍氏の今後の靖国参拝について明確に否定はしないものの『中国側が「参拝しない」と受け取れるような表現』(日中関係筋)の『新見解』を提示。戴氏はいったん帰国し、胡錦濤国家主席の同意を得て、28日に急きょ再来日、安倍氏の訪中受け入れを回答していた」。
「韓国も、日本との事前交渉で『日韓双方が両国関係を妨害する行為をしない』との認識で一致したことを受け、訪韓受け入れに同意。日韓首脳会談でも、安倍首相が今後靖国参拝をしないと受け止めた上で『未来志向』の関係構築で一致する見通しだ」。
「安倍首相の中韓歴訪を歓迎、米政府が声明(日経,10月5日)」。
「米ホワイトハウスは4日、安倍晋三首相の中国と韓国への訪問計画を歓迎する声明を発表した。『東アジアの重要な同盟国である日本と韓国との間の緊密な協力を米政府は最大限重視している』と評価。『日本と中国の協力も共通の課題に取り組む上で重要だ』との見方を示した」。「米政府が外国首脳の第三国への訪問に関し事前に声明を発表するのは珍しい」。
「EUがASEANや韓国とのFTA交渉を加速」(日経新聞,10月5日)。
「欧州連合(EU)の欧州委員会は4日、東南アジア諸国連合(ASEAN)や韓国との自由貿易協定(FTA)交渉を最優先課題と位置付けた新たな通商政策を採択した。急成長するアジア市場で、EUは日本や米国に出遅れていると指摘。アジアでのFTA交渉を加速し、貿易や投資を大幅に拡大したい考えだ」。
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