1)全員出席。第5章「大学時代はとにかく本を読んでほしい」を,京田さん・原さんが報告する。提起された話題は,①「私は大学に入ってから1冊も本を読んでいないのですが,みなさんは自分が進みたい方向を知るために読んでいる本などありますか?」,②「私は歴史小説を読んだことがないのですが,本に書いてあるように大人の教養には歴史小説が必要だと思いますか? また,それはなぜですか?」,③「あなたはどれくらいの数の本を持っていますか? また,読み終わった本はどうしていますか?」,④「あなたは今まで自分自身の人生を変えるような本に出合ったことがありますか? また,それはどのような本で,どのように変わりましたか?」。
2)①については,『ハリー・ポッター・シリーズ』『ロンドンの勉強』『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『白夜行』『国家の品格』などがあがってくる。藤原正彦氏をつづけて読んでいるという強者もおり,また家庭で司馬遼太郎をすすめられているという人もいる。ハリー・ポッターはハリーの成長過程や舞台となる世界の想像が楽しく,『ロンドン』については若い女性の体験日記が身近で楽しく読めたらしい。②については,いわゆる歴史小説とは異なるが『大地の子』や『ドグラ・マグラ』があがる。日中関係をもっと知りたい,日本の文化を知りたいという声も出る。『ドグラ・マグラ』は知らなかったが,調べてみると「昭和十年一月、書下し自費出版。狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に著者の思想、知識を集大成する。“日本一幻魔怪奇の本格探偵小説”とうたわれた、歴史的一大奇書(なだいなだ)」ということらしい。
3)③④については「200~300冊は読んでいる」「最後に読み終えた日付と一言を書いている」「今は太宰治を」という声があり,また『チョコレート工場シリーズ』のロアルド・ダール,『葉っぱのフレディ』,宮部みゆき,京極夏彦の妖怪もの,将棋のことは知らないけど『決断力』(羽生善治),『電波男』,『負け犬の遠吠え』,『It と呼ばれた子』,野口英世やヘレンケラーの「伝記」などもあがってくる。中には「雑誌や新聞の投書欄」「食品成分表」といった意表をついた「読書」もあった。『電波男』にかかわって,若い世代が「恋愛資本主義」に乗せられているということが熱く語られる。
4)個人差が大きいのだろうが,それなりに読む人は読んでいるようである。本を読む理由はさまざまだったが,①生きている社会を知ること,②たくさんの日本語をカラダに蓄えていくことといった効用についても話してみる。生き方を探るという意味では,伝記・小説を読むことにはたくさんの生き方を知るという意味もある。良い本との「出会い」は,それをじっと待つのでなく,セッセと本屋に通うことで引き寄せられる。たとえば「今日は本屋で2時と覚悟を決めて,ハシからハシまで新書をながめよ」とも伝えてみる。
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