1)2回だけのリレー授業。今回は「女性と雇用差別」の問題。働くということについて。就職活動とは自分を「雇ってくれる人(会社)」を探す活動。つまり自分は雇われる人になっていくということ。働くことの中では,稼ぐ,社会の役に立つ,自己能力を伸ばすの3つなんとかを実現したい。学生時代には「社会のどの分野を担うか」を良く考えること。これについては科目「キャリアを考える」で学んでほしい。
2)「稼ぐ」について考える。「男に食わしてもらう」という幻想。日本の全サラリーマンの平均年収は470万円。若い世代は「男女平等」の低く収入しかなく,年収1000万円以上は全男性サラリーマンの0.7%。そのほとんどは「オッチャン世代」。それを結婚相手にできるのか。医師・弁護士・税理士など「高給取り」の専門職はごく少数。「白馬の王子」は幻想である。もうひとつ「親に食わしてもらう」の幻想。60才になれば日本の企業は強制定年。その後の両親は年金・退職金・貯金で老後20年間を生活していく。親の金で生きるパラサイト(寄生)は,老後のための蓄えを前倒しで吸い取るもの。それは,結果的には親共倒れへの道となる。そうなるとやはり「自分自身」に稼ぐ力が必要。両親のためにも,できるだけ早く自立すること。
3)働く上であらかじめ知っておくべきは「女性差別の現実」。不条理なことだが,したたかに対応する気構えや能力をつけることが必要。募集・採用の段階での女性排除(T自動車),仕事の配置での「雑用」の強制(Sハウス),研修の男性優位とその結果としての昇進・賃金の男性優位(N証券),さらには結婚・出産を期にした女性だけの退職圧力も。差別をなくす大きな取り組みとともに,その中をすりぬけて生き抜くしたたかな力が必要。パートナーの転勤を機に失職することもあり,その後の長い人生での夫の病気・リストラ・離婚などの可能性を考えると,それはきわめて不安定な身分となる。その道を選ぶかどうかも大問題。選ばざるをえない場合にも再就職への工夫がいる。各種企業の女性政策の実態については,『就職四季報〔女性版〕』を活用のこと。
4)なお神女の就職力は低くない。各種雑誌による「就職力」比較でも西日本の女子大ではトップクラス。関関同立に遜色ない。この高い評価の理由の1つは,先輩たちが良くはたらいていること。2つは,先輩たちとのネットワークがあること。3つは年配人事担当者に「女学院ブランド」が生きていること。これらの好条件を活用しながら,根本では「自分自身」に道を開く「力」が必要である。それが「就職力の高い大学」という,これからの新しいブランドづくりにもつながっていく。なお競争で他者を蹴落とさねば就職できない(正社員の有効求人倍率0.65)という,今日の経済の仕組みの問題については,科目「経済学」で学ぶこと。
最近のコメント