1)前回授業の復習から。職場でのいくつかの権利について。①残業には25%増以上の支払いが必要,②サービス残業は違法,③残業には経営者と組合・労働者代表の同意が必要,④社会保険への事業所の加入義務,⑤有給休暇,⑥労働条件を文書で明示する義務,⑦男女の平等。これらはいずれも正社員だけでなく,アルバイト・パート・派遣・臨時などどのような雇用形態にも保障された権利。
2)職場で法が守られない場合には,守ることを要求することが必要。①職場に労働組合がある場合にはそれを通じて,②組合がない場合あるいはそれが組合らしい機能を果たさない場合には,労働基準監督署に相談する。労働基準監督署は管轄の事業所に労働法を守らせることが職務。相談者が誰であったかについては,経営者側に伝わらないようにこれを秘匿する義務が監督署にある。
3)「女性と消費生活」について。基本はだまされないことと,だまされた時の対処法を知ること。①ローンとは何か。ローンとは借金。借金には必ず利息がつき,利息は借金の期間が長くなるほど大きくなる。したがって,「5回より50回の方が支払いがラク」という判断は,結果的に自分の支払う額を大きくすることになる。「ローンなら買えるでしょ」という言葉は,「ローンで一杯払えよ」と同じこと。②カードでの支払いには,金が出て行く実感がない。その結果,注意しておかなければ,支払いきれない莫大な買い物をして,あとで請求書に驚かされることになる。裁判所での「自己破産」にいたるというケースもある。現金払いが一番安全。
4)身近なだまされる「消費」問題としては,①ケータイやパソコンへのメールでの架空請求がある。しかし「請求=支払い義務」ではない。身に覚えのないものに支払う義務はない。メールの場合は「返信」をしないこと。「返信」すると,恫喝に弱いと判断され,相手に攻撃を強めさせるきっかけとなる。訴える場合にはメールの保存が必要。②マルチ商法(ネズミ講)。自分がある商品を買い,その商品を買う「仲間」をふやすことでマージンを受け取っていくというもの。結局は,マージンを受け取ることのできない被害者を増やすことになり,仮に自分は良くても他人に迷惑をかける行為となる。違法とされているものも多く,法の網の目をかいくぐろうとするようなものも多い。③キャッチセールス。基本はついていかないこと。
5)万が一,②や③の契約をしてしまった場合には,クーリングオフの制度を活用して契約を一方的に解除することができる。あきらめないで対処すること。解除できる期間は多くが契約後8~20日程度なので早い方がいい(契約書で確認すること)。契約書が手元にない場合には「国民生活センター」などのサイトで確かめること。クーリングオフの場合には,損害賠償の支払いも不要で,製品の返送代も業者側の負担となる。いずれにせよ迅速な行動が肝心。
6)以上で2回の授業は終わり。レポートの提出を求める。課題は「クーリングオフの方法を自分の言葉で説明しなさい」。500字程度。ネット上の情報をコピーしただけのものは不可。6月14日(水)午後1時を締め切りとし,教務課横の課題提出ボックスに提出のこと。くれぐれも氏名・学生番号を忘れずに。締め切りを守れなかったものは受け取らない。
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