1)総合文化学科叢書の最新作『女子教育,再考』を配布。後期の登録ガイダンスの案内をして,夏休みの課題レポート,後期の基礎ゼミの申し込みの段取りを簡単に紹介する。
2)卒論と就職にむけた4年間の生活づくりのあらましを復習して,前回配布の『岡田山論集』第8号から,論文「日本人の歴史認識の可能性-『広島平和記念資料館』の成果と限界から考える」を読んでいく。論文はドイツの戦後の反省や「女たちの戦争と平和資料館」との対比も行いながら,いわゆる原爆資料館の展示について,アメリカによる原爆投下への告発がないこと,原爆投下にいたる戦争の全体像(侵略の歴史)の紹介がないことを,2つの重要な弱点として指摘するもの。
3)短い時間の討論。「原爆を投下したパイロットと日本の被爆者の対面をテレビで見た」「あれで戦争が早く終わった/謝ってほしいとすれちがいだった」。「論文は加害の視点の欠落に良く気がついた」「『大東亜共栄圏』など言葉しか教えられていない」「戦争は被害の歴史として学んできた」。「テポドン問題もあり,いまはアメリカ批判をしないほうがいい」「戦争についての教育はどちらが悪いではなく,事実を伝え,それを各自が判断していけばいい」。「シュワルツネッカーの映画で核爆発のきのこ雲を背後に恋人とキスをするシーンがあった」「ハリウッドの核への認識はそんなもの」「アジアから日本の戦争を訴える裁判が多いが,訴える人が死んで終わりではないと思う」。「政治のあり方で戦争が行われたり終わったり,国のあり方が大きく変わる」。
4)それ自体がこのゼミの学びのテーマではなかったが,ドイツをふくむヨーロッパの現在と日本をふくむ東アジアの現在の国際関係の相違,第二次大戦への国際的な評価,その評価の相違とそれにもとづく行動は「昔のこと」ではすまされないことなど,各人の判断がどうなるにせよ,それぞれに戦争の歴史やアメリカによる占領の戦後などは,学生時代に良く学んでおくべきことのひとつ。アジアに生きる大人としての不可欠の教養と見識をなす。
最近のコメント