まずは最近の話題から。戦争は昔のことだが,その戦争をどう評価するかは,現代日本のきわめてホットな大問題。世界的には日本による侵略と支配という評価は明確だが,それと日本政府との評価のズレが国際摩擦をも生んでいる。
45年の敗戦以後,日本政府が公式に「侵略と植民地支配」への反省を語ったのは95年の「村山談話」が初めてのこと。「村山談話」は公的な政府の見解であるが,それ以後,反省する必要はないとの論も強くなる。安倍首相もそうした論を語ってきた1人。
その安倍首相が少なくとも表面的には,自身の見解の「修正」を余儀なくされつつある。国内からの強い批判,アジアや欧米からの強い批判によってである。11月の中国・韓国との首脳会談開催に向け,安倍政権は歴史認識を「玉虫色」にごまかす策を取り始めている。これがそのまま本当に会談の実現にいたるかどうはまだ不明。なお,アメリカはアメリカなりの国益を考慮し,首脳会談再開へのこの動きを強く歓迎している。
ビデオ『証言-20世紀からの遺言~若者が問う侵略戦争』を見る。38分。
元兵士等が加害の実態を証言していくもの。
テキスト『未来を拓く歴史〔第2版〕』から,ビデオに関連する箇所を見る。加害と被害の両面を見ること(148ページ以降),日本軍による中国人生体解剖(130ページ),戦争に反対できない人間をつくる国内教育(149ページ),日本軍と兵による性暴力(132ページ),三光作戦と補給や交代のない軍隊(128ページ),南京大虐殺をめぐって(126ページ)など,簡単にコメントをつけて紹介していく。
その後の質問・意見は「八路軍による日本人捕虜の扱いの問題が語られていたが,日中で捕虜の扱いはどれほどに違っていたのか」「日本に対する軍国主義の指導者と人民との区別という中国の姿勢はどのようなものだったか」「加害の事実を知らなかったので,今は混乱している」「証言者は加害のトラウマに苦しんでおり,それへのケアも必要ではないか」など。とりあえずは,考えることをやめずに,まずたくさんのことを知っていくことである。
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