テキスト133~5ページを終え,第3章「経済の空洞化を促進させる対アジア戦略」を終える。
空洞化が日本経済にもたらすものの1つに,貿易の黒字から赤字への転換,支払能力の枯渇,IMF等からの借金による「構造調整」といった一連の問題がある。貿易のバランスを管理する政策が必要。
第4章は「構造改革」の推進における支配層の内部対立を検討したもの。,そこに入る前に「構造改革」とは何かの解説を行っていく。まずは戦後の経済史への「構造改革」政策の位置づけの問題。
45年から52年までの米軍による占領期に,アメリカいいなり経済軍事大国への日本の育成という施策が方向づけられる。55年からの高度成長は,アメリカによる対日輸入の拡大を強い原動力とした。
アメリカの相対的な地位低下がすすみ,77~8年には日本経済の「内需主導型」への転換という要求が出される。日本政府はこれに大型公共事業の推進で対応する。財源づくりとしての一般消費税導入の試みは失敗し,81年からの臨調行革による生活関連予算の縮小が行われる。
86年にはアメリカの対日要求を日本側の内発的要求であるかのように公約する「前川レポート」が作成される。内容は公共事業拡大と規制緩和の二本柱。このレポートも活用しながら,89~90年には日米構造協議が行われ,10年で430兆円の公共事業,6分野240項目の規制緩和要求がつきつけられる。消費税は89年に導入された。
大型公共事業推進による財政赤字拡大のなかで,96年の橋本6大改革,01年小泉構造改革,06年安倍構造改革と,規制緩和,市場開放,財政改革の推進などがアメリカの対日要求を深く受入れながら展開される。
大型公共事業の縮小や市場開放の政策は支配層内部にも軋轢を生む。ここの詳細はまた次回。
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