テキスト第4章「中国経済の成長はいつまで続くのか」を読む。
①ゴールドマン・サックスの予測によれば2045年には世界一のGDPに。②成長率の乱高下はあるが21世紀半ばまで成長率を低下させながらも,成長は持続する。③格差や農村の問題の解決は簡単ではないが,経済破綻の要因とはならない。④むしろ大きな懸念材料となるのは為替の自由化が金融危機に直結するのを避けることができるかどうか。
この議論の中での榊原氏の特徴の1つは,今日の中国の経済成長を,日本の高度経済成長に重ねて「原始的資本主義」から「成熟した資本主義」への移行と位置づけていること。その根拠とされるのは競争の激化。しかし,市場や競争が資本主義以外の多くの生産体制に存在することは明らか。「市場=資本主義」ではない。
「社会主義とは何か」の基本の議論に入る。①社会は段階的にその構造を大きく転換させてきた。どの段階も歴史の過程にあるものとなる。それは現代も同様である。
②「自由・平等・博愛」をかかげたはずの資本主義の深刻な矛盾の中から,資本主義をこえる社会への期待が膨らむ。古代からあったユートピア思想が,資本主義批判の形で社会主義・共産主義の思想として本格化していくる。
③新たな転換をもたらしたのが,資本主義社会の内部に次の段階への移行の推進力を見出したとするマルクスの研究。客観的には生産の社会化と生産手段の私的所有との矛盾,主体的には所有の社会化によってこれを解決(解消)しようとする労働運動の発展を不可避とした。双方をふくんでこれを生産力発展への衝動と資本主義的生産関係との制約の衝突ということもできる。
④これまで思想としてのみあった社会主義(共産主義)を「体制」として実態化する最初のきっかけとなったのがロシア革命。レーニンの政権は第一次大戦からの脱却(講和),植民地の開放,社会保障の宣言,労働者の権利擁護などをかかげ,20数カ国による干渉戦争に耐えたロシアは,経済的には統制経済の失敗から市場を活用した経済政策への転換を行っていく。その転換の指針の探求過程でレーニンは倒れる。
⑤以後,権力闘争を勝ち抜いたスターリンが,対外的膨張主義と内的命令主義を復活し,少なくとも30年代には「社会主義思想の実態化」の試みを「社会主義」の名のもとに終焉させる。これがソ連型自称「社会主義」の実態を生み出していく。次回へつづく。
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