前回の復習もしながら,第5章の後半を読んでいく。
円高ドル安は日本からアメリカへの輸出量を減少させる。アメリカ市場への依存度が高い自動車・電機産業にとって,それは大きな痛手となる。これら産業は現在,日本財界の主流派でもある。
この関係を利用したアメリカからの圧力がある。円高促進の圧力に,日銀はドル買い円売りの市場介入で対抗する。その結果,日本は中国に次ぐドル保有大国。アメリカで運用されるドルはアメリカ国債の購入に向かい,財政赤字のブッシュ政権を支えている。
「構造改革」も円高圧力により実施された部分がある。95年には「1ドル=80円」の超円高があらわれる。これが日米金融サービス協定締結とともに緩和される。協定は「金融ビッグバン」を約し,日本での海外銀行・証券・保険会社の自由な活動を保障した。
結果として,これは財界主流が,自らの輸出市場確保と引き換えに金融関連市場をアメリカ企業に差し出したもの。
こうしたアメリカの圧力に屈する経済的根拠は,過度のアメリカ市場依存。この輸出先を大きく分散させる必要がある。その絶好のチャンスとして東アジア市場の成長がある。この成長を日本経済の新たな発展の要因とするうえで,大きな障害となっているのが「歴史問題」。
アセアン共同体にせよ,中南米のボリバル統合構想にせよ,脱米自主の共同体建設が世界各地で進んでいる。政治的にも経済的にも,この大きな流れに取り残されないことが,日本にとっても必要である。
なお,期末レポートの課題を提示。
「『ASEAN共同体』『東アジアサミット』とは何ですか? それと今後の日本経済の関係について,考えるところを書いてください」。
〆切は1月26日午後1時。提出先は文学部事務室前ボックス。字数は2000字程度。
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