テキスト40~62ページを読んでいく。
前回のつづきとなる「ゼネコン国家化」については、①世界最大の公共事業費やトップクラスの軍事費、さらにはそれによる国債費(借金返済)により、社会保障・医療・教育などの予算が削られている。
②大型公共事業の具体的内容を決める手順については、紀淡海峡にかけられる計画のある橋を事例に、JAPIC(日本プロジェクト産業協議会)→経団連→政府と、まずは土建業者それ自体が決めている。そこから「建設族」のように、業者と結合した自民党の政治家グループも生まれてくる。
③なお90年代の45~50兆円から今日の30兆円へと公共事業費は削減されるが、同時に、地方から都市への予算の集中が起こり(都市再生)、それによってスーパーゼネコンなど大手ゼネコンには利益が保障されていく。
第2章に入る。「構造改革」の重要な内容の一つは、自民党主導から官邸主導への政治手法の変化。背後には、建設族の背後によるゼネコン・鉄鋼主導から、今日の官邸(経済財政諮問会議)周辺にいる自動車・電気機械主導への財界内部の力関係の変化がある。
この変化に対応して「官邸主導」の経済運営を実現するうえで、大きな役割を果たしたのが竹中平蔵元経済財政担当大臣。彼の主張をから「構造改革」の内容や目的を読み込んでいく。
世界経済の変化についての認識は、①ソ連・東欧崩壊による市場経済の拡大、②IT技術を駆使した利殖のチャンス、③日本政府もそこに入りうる大企業への支援を中心に、というもの。
あわせて、そこに入りうる大企業とは、世界市場でもまれて強い競争力をもった自動車・電機・電子の多国籍企業(海の国)であり、規制や国家に守られて利益が保障される弱い農業・金融・ゼネコン関連(山の国)については、競争力強化のための規制緩和、国家による援助の削減が必要になるとされる。
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