ビデオ「ビルマの日本軍慰安婦」「シュエダウンの物語」を見る。後者の副題は「ビルマの慰安所と”現地妻”が語るもの」。
ビルマ(ミャンマー)での元「慰安婦」の現在は、きわめて強い男性上位思想、「慰安婦」を汚れたものとみる思想によって閉じ込められている。
さらに「ドキュメント90 土屋元憲兵少尉と中国」を見る。328名を殺したという土屋さんが中国に渡り、ある遺族に会って直接謝罪する物語。会うことができた相手は、土屋さんらが殺した「解放戦死」の娘である。
その後の生活の大変さから、妹や母などを多くの肉親をその後も失い続けた遺族の言葉が、土屋さんの胸を刺す。
各人の報告、「ドイツは過去とどう向き合ってきたか」(林さん)は、05年に40億円以上を費やして完成されたホロコースト犠牲者追悼碑、ユダヤ人への最初の賠償を決めた52年のルクセンブルク合意、総額9兆円をこえる戦後の賠償金、ナチス支配の過程を詳細に描き討論を求める歴史教科書、多くの市民が絶滅収容所の事実をはじめて知った63年からのアウシュビッツ裁判、「悪質な殺人」についての時効廃止(79年)、ナチスによる大量虐殺を否定する発言を禁じた刑法130条(60年)、強制労働被害者による集団訴訟を出発点とした6400のドイツ企業による補償基金「記憶・責任・未来」の創設(2000年)などを紹介。
戦後の西ドイツ政府の性格や連合国による占領とのかかわり、 ナチス時代の一般市民の「罪」を問う視角などが今後への課題となる。
「日韓交渉・請求権問題について①」(久川さん)は、日韓交渉の基本的内容、請求権交渉にかかわる基本用語(賠償、補償、請求権)、大韓民国樹立前後の賠償問題、李承晩政権の対日賠償要求などについて報告。
戦後朝鮮半島の南北分断の経過、「南朝鮮過渡政府」とアメリカによる支配との関係、アメリカの日韓双方への占領政策の関わりなどが、今後の課題となる。
『戦時・性暴力をどう裁くか 国連マクドゥーガル報告全訳』の紹介(井上さん)。96年、98年と2度のクマラスワミ報告をへて、98年8月に国連人権委員会差別防止・少数者保護小委員会採択された、
性暴力が裁かれずにきた経過については、①国際法が女性への暴力を国家責任として考えてこなかった、②強姦を女性の”名誉”の問題ととらえ暴力犯罪ととらえる認識が薄かったことがあげられる、
その上で「慰安婦」制度の罪については、①奴隷制の犯罪(32年段階で20以上の奴隷禁止の国際協定)、②戦争犯罪としての強姦にあたる(強姦と強制売春は国際慣習法で禁止されていた)、③組織的広範な奴隷化は人道に対する罪(半世紀前から、今日では組織的強姦も)と分析し、
次のような勧告が行われている、①国連が刑事責任の追求義務を日本政府に果たさせる、②「アジア女性基金」ではない公的補償のための行政基金を設立する、③賠償と訴追の進行について日本政府に年2回事務総長宛の報告書をださせる、等。
次回は、児玉さんの報告からはじめ、『「慰安婦」と心はひとつ 女子大生はたたかう』の安倍発言批判を検討し、さらに各自のテーマ報告をすすめていく。
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