テキスト『財界の変貌』に入っていく。
まずは本の形式的な特徴を述べていく。議員等による調査と研究であり、当然、所属政党のカラーが出る。基本的には調査と分析の結果に力点をおいてテキストを読む方針。
序章「財界の何かが変わったのか」を読んでいく。
変貌の中心的な内容は、①日本経団連が日米多国籍企業の共同利益を追求するようになったこと、②その政策な内容が新自由主義を中心とするものに変わったことである。
以下、テキスト全体の概括。
第1章では、経団連役員企業の規模の巨大化と、加工組立・ハイテクへの産業構成の変化、海外依存度の急速な拡大、発行済み株式の多くを外資が保有するようになっていることなどが分析される。
第2章では、日米経済関係の変化が示される。日本側の安定した貿易黒字から貿易摩擦へ、その調整の取組へ、さらに日米「協調」へ。
「協調」の内容としては、日本側からの金融市場の割譲と、東アジア市場の開放が重要と意見を述べる。
「協調」「共同」は日米対等なものではなく、あくまでアメリカ側を主としたもの。
第3章では、新自由主義路線が政策の中心となっていくことの経過が述べられる。96年の「豊田ビジョン」が橋本6大改革の土台となり、残された郵政民営化の課題を、01年総裁選で小泉氏が改革の「本丸」と位置づけて引き受けていく。
郵政民営化はアメリカの金融機関からの要請でもあったから、新自由主義路線の採用は、最初からアメリカの要望を組み入れたものとなっていた。
トップダウン式に新自由主義路線を実施する機関として、経済財政諮問会議が発足する。これは橋本6大改革にもとづくもの。会議の中では、財界人が主導権を握っていく。
次回は、13ページの終わりから。
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