リレー科目の第2回。15年戦争における加害の実態を多面的に見る。
ビデオ『証言-20世紀からの遺言』は、若い軍医による生体解剖の体験証言が印象的であり、また泥のついた軍靴で中国人の赤ん坊を踏み殺したとの証言もある。
証言の悲惨とともに、戦争体験者が高齢化するなかで戦争の実態をリアルにどう伝えていくかという若い世代の切実な模索の姿勢も見えてくる。
つづいてビデオ『写真に記録された「慰安婦」』を見る。
朝鮮からミャンマー(ビルマ)へ連行され、「慰安婦」を強制された朴ヨンシムさんの証言である。証言を裏付ける元日本兵の証言も映し出される。
補足の第一は、15年戦争の経緯の紹介。
先立つ1894年日清戦争で台湾を植民地化、1905年日露戦争、1910年朝鮮併合(強占)、1915年対華21ケ条要求、1918年シベリア出兵、1931年「満州事変」、1932年「満州国」建国、1937年日中戦争全面化、1941年対米英戦争、1945年敗戦。
15年戦争の死亡者は日本人310万人、アジア人2000~3000万人といわれ、被害と加害の両面が語られるが、攻撃をしかけ、またその攻撃ゆえに反撃を受けて大量の犠牲を出したのが日本の死者の実態。
補足の第二は、「慰安婦」問題。
2007年3月の安倍発言は、強制連行の文書資料がないことを理由に謝罪の不用を語るもの。しかし、強制連行にかかわる以外の明白な文書資料は1992年の加藤談話の時点で確認されている。
強制連行にかかわる関連資料も現われているが、百歩譲って仮にそれが証明できないとしても、「慰安所」をつくり、「慰安婦」を閉じ込め、レイプし、特に殺害したなどの行為が、当時の法に照らしても許されるわけではないことは明らか。
次回は最終回。
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