序章「財界の何が変わったのか」のつづきを読む。
新自由主義的「改革」の実行経路の3番目から。郵政民営化をめぐって。95年にアメリカからの保険資本の利害を強くあらわした「民営化」要求があり、96年の「豊田ビジョン」が「分割・民営化」の方向を示す。しかし、自民党内部の巻き返しがあり、一体のままでの郵政公社化という玉虫色の決着となる。
これを打破すべく、2001年小泉内閣が郵政民営化を「改革」の「本丸」としながら成立する。国内での「改革」推進勢力をアメリカは活用し、また2005年の郵政民営化選挙もへて、2007年10月民営化が実行される。この経過は「構造改革」が、何より日米財界の利益実現を目指したものであることを示す。
4番目は「基本方針2006」について。経済財政諮問会議が示す、「構造改革」の基本方針。そこには、自民党自身が「抵抗」しない政党にかわり、官僚たちもまた財界主導の「改革」を実行する部隊に変化したことが語られる。
これは国民生活にとっては何もよいことがないわけだが、そのしわ寄せへの反発が、2007年7月の参議院選挙における自民党大敗として現れた。
第4章の金の流れから見た財界による政治支配については、1番目が財界の通信簿方式での政治献金の影響について、2番目が金の流れが自民党の執行部主導に変わっていること、3番目が膨大な政党助成金の存在と、外資系企業の献金規制の緩和の問題、4番目が政策決定過程におけるトップダウン方式の強まりという問題である。
財界の通信簿で重要なことの一つ、それが民主党に対しても行われているということ。93年に2大政党制づくりを意識して自民党を分裂させたと、現民主党代表の小沢一郎氏も語っている。自民から民主への政権交代があった後にも、財界本位の政治を続ける保障をつくるための策でもある。
次回から、各章を見ていくことになる。
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