テキストの23~27ページを読む。2004年下院総選挙でインド人民党にかわり国民会議派が勝利したこと、左翼政党が閣外協力しているが、改革路線は継続していること。とはいえ、国民会議派は貧困層の支援を訴えて選挙に勝利しており、雇用拡大をインフラ整備・製造業の活性化を通じて行う政策をとっている。
道路・港湾・電力など、民間資本(外資)も導入・活用するインド版PFIが行われている。91年の「新経済政策」はIT産業を急成長させたが、これにつづいてインド経済の成長はインフラ整備を柱とする第二局面に入りつつある。
最近のニュースから。①OECDが自由化促進でインドは2ケタ成長が可能と報告。しかし、それが取り残す貧困と格差の問題が、04年の政権交代につながっている様子。②インド株が史上最高高。海外の投機もあり、その分のルピー高もあるのだろうが、これが97年の通貨危機のような売り逃げにつながるのかどうか。「中産階級」の拡大によるインド経済の発展に依拠する外資の戦略が、これを抑止する方向に向かうのか、そこが注目点。
③アメリカとインドの核技術協定を政府が推進し、閣外協力している左翼4党が「核開発の自主権」をもとにこれに反対している。国民会議派の過半数割れが予想され、解散・総選挙が予想される。急速な経済成長とは別の論理が政治にあり、ここへの習熟がインドの政治に求められている。
その後、NHKスペシャル「インドの衝撃」の第1回「わき上がる頭脳パワー」を見る。インド工科大学(IIT)への巨額の国費投入、世界に巣立つ工学エリート、そのネットワーク、インドをリードしインドに恩返しをしようとする姿勢。1951年に初代ネルー大統領が「頭脳立国」戦略のもとに創設した大学。
小学生の段階から、数学を好きにする教育が工夫される。
他方でインドの識字率は65%、大学進学率は7%にすぎない。貧しさのために学べない人たちへの自主的な支援もはじまっており、貧困からの脱却を教育に求める動きもある。
とはいえIITの競争率は60倍。この道をいくことができる人はほんの一握り。「頭脳立国」が社会全体の規模での貧困の克服につながるかどうかはいまだ不明。またIITに入学する女性の比率はやはり低い。成長の推進力としての「頭脳」への着目により、それらの問題を見失わないことが大切。
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