テキスト「第1章・基礎的データにみる日本経団連の変貌」の47~79ページを読む。
「5、生産拠点の海外移転と企業内取り引きの国際的広がり」
海外生産比率(海外生産/内外生産の合計)が上昇するが、同時に日本企業は輸出依存の構造も維持する。それが可能なのは、国内の生産コストの低さ、つまり人件費と下請け単価の低さに依っている。
海外生産比率上昇のきっかけは、アメリカに対しては貿易摩擦、ヨーロッパに対してはEU統合への警戒感からであった。90年代後半以降にはアジア特に中国への進出が増加し、現地法人の数でいえば6割がアジアに集中するようになっている。
海外生産比率の上昇とその販売ネットワークの拡大は、貿易にしめる企業内取り引きの比率を高め、個別企業で見ても売上にしめる企業内取り引きの比率を高めている。
「6、日本経団連役員企業の株式の多くは外資が保有」
日本経団連役員企業発行済株式の約3割が、外国資本の保有となっている。
株式を保有することの意味を3つの角度から見ていく。1つは、株式の保有(購入)はその企業への出資の意味をもち、出資には「配当金」が対応する。
2つは、株式の売買から差益が生まれることについて。これを目的とした株式の売買が株式投機。
3つは、株式会社の最高議決機関である株主総会の議決権が、株式の保有に応じて分配され、発行済株式の51%の保有は議決権の51%(過半数)保有に等しいものとなる。
その株式保有にしめる外国資本比率が、とりわけ90年代に急上昇し、2006年3月決算でキャノン51.12%、ソニー50.29%、オリックス59.27%などを筆頭に、正副会長企業で1社平均30.72%となっている。
これら外資系企業による政治献金も合法化され、さらに信託銀行が保有する株の少なくない部分が外資保有であるとすれば、外資保有比率はさらに高まることとなる。
日本経団連は、この角度からも日米大企業の共同利益を追求する機関としての性格を深めている。
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