テキスト第2章「ITだけではないインド企業の実力」を読む。
IT産業の発展の中では、近年特に、アメリカ・イギリスなど英語圏の大企業からの業務委託が多い。コールセンター、カルテや各種データベースの管理など。高度技術の開発だけでなく、低賃金と高いIT駆使能力を結合させた産業である。
「ジェネリック」で飛躍した製薬業界や、以前から自由競争のもとで高度医療をになってきた医療業界の成長も著しく、「メディカル・ツーリズム」の受入れでは、世界一のシンガポールに迫るっている。
ただし、これら高度医療は、多くのインド国民とは無縁なところに存在している。
その他の製造業については、「サンダルから人工衛星まで」をめざした「鎖国」時代のすそ野の広い製造業が、海外からの組立型産業の導入を支える力となって生きている。
こうして見ると、インドの急成長が91年以降の自由化(グローバリゼーション)をきっかけとしていることは事実だが、そこには、すでに養われつつあった工学を柱とした高い教育・技術水準、幅広く形成された産業基盤など「鎖国」時代に築かれた前提というべき力があった。
急速な経済成長の中で、一族経営の企業集団である財閥(タタ、ビルラ、リライアンスなど)が大きな役割を果たしている。
現時点での世界構造変化をとらえる視角について、最近の研究を1つ紹介。
1つは、アメリカの力量を過大評価しないという問題。2つは、ソ連崩壊により東西それぞれの結束がはじけ、各国が発言や行動の自由度を増していること。3つは、ベネズエラ、ボリビアさらにはブラジルにも「社会主義」をめざす力が強まっていること、など。
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