NHKスペシャル「ワーキングプアⅢ」を見る。
今回の副題は「解決への道」。
日本よりもワーキングプアの問題が深刻化しているであろう各国を取材したスタッフは、ノーカロライナ州の職業訓練の取り組み、イギリス政府による社会的企業育成の取り組み等から、むしろ日本の事態のいっそうの深刻さに突き当たる。
日本には、ワーキングプアに陥った人たちが、再びこの社会で生きる喜びを実感するようになれるプロセスの用意、そのことに挑戦できる教育の用意が行われていない。
その点では、ワーキングプア「先進国」よりさらに悪いと。
人が自分の力で働き、それで生活ができるということは、その人が社会とのつながりの中で生きていけるということであり、それは人としての尊厳に深くかかわることがらでもある。
拾った雑誌を1冊50円で売ってくらしていた30代の男性は、いま、ある市が行うホームレス支援の路上清掃で月7万円を手にしている。
日に1度ということもあった食事が、店のなかでの炊きたてのゴハンにかわり、公衆トイレでカラダをふくだけだった生活が、2日に1度の銭湯にかわる。
「ちゃんと社会の一員に復帰したい」と涙する男性は、「前は泣くこともなかった」「人が信じられるようになって、少しずつ人間らしい感情がもどってきた」という。
とはいえ彼は、いまだ路上生活のままである。
問題解決に向けた、国と社会の強い意志と覚悟が必要だという、しめくくりの言葉は本当にそのとおり。
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