テキスト『インド経済の基礎知識』に入る。奥付をながめ、「はじめに」を見る。ブッシュ大統領の一般教書による中国とインドへの「競争相手」としての注目があるが、両者に対するアメリカの姿勢の相違についてもふれていく。
「第1章・浮上するインド経済」。「1.BRICsの一角を占めるインド」「(1)ライセンス・ラジから経済自由化路線へ」。戦後インドの経済政策は、47年の独立から91年の経済危機にいたる政府による規制の強い資本主義から、経済危機以後の自由化推進に区別される。
91年までの政策は時に「社会主義的」と評されるが、財閥を温存するなど労資関係の継続は明らかで、国家による対内・対外規制は強くとも、それが資本主義を前提したものであることは疑いない。
91年経済危機は、湾岸戦争による原油高騰と湾岸のインド人労働者からの送金の減少による。外貨不足を国際通貨基金や世銀からの融資で補うが、その条件として「構造調整」が求められ、経済政策は自由化の方向へと大きく転換する。
以後、今日にいたる経済成長が段階的に進行し、あわせて格差拡大などの新しい摩擦の種も生まれていく。
「(2)世界経済におけるインドの位置付け」。経済成長の展望は様々に語られるが、BRICsの中での特徴といえるのが人口に占める生産年齢人口比率の高さ。
インドは富士山型から釣鐘形への、資本主義の発展に応じた人口構成変化の途上にあり、それが、各国への労働者「輸出」の展望にも、反対に各国からのますますの資本の集中の希望にも結びつけて論じられる。
1人あたりGDPはかなり低いが、それをリードするIT産業が、周辺産業への波及効果をもち、経済全体の継続的な発展が国内消費を着実に拡大させるとの見通しが立つ。
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