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91年の経済自由化政策によって、インドの経済成長は急速となる。経済成長率は年ごとのGDP(国内総生産)の伸び率。それはモノとサービスをつくる力の豊かさをあらわすものだが、それがどのように分配されるかは示さない。
90年代半ばには海外からの証券投資も増加する。証券投資の柱はインド企業への株式投資。それは原理的には豊かな配当を望むものだが、実際には株価の上昇による利ざやの獲得を見込むもの。
97年には第1次インドブームが一段落する。直接の原因は農業のマイナス成長と、それまでの過剰投資と、98年の核実験による経済制裁。資本主義には景気の循環がある。景気の上昇過程で操業率の上昇と設備拡大が行われるが、社会全体の規模でこれを調整する機能は誰もはたしていない。これが社会の消費能力をこえる過剰投資に結びつく。これは日本をふくむ資本主義経済の動きを見る大切な視角の1つ。
第2次インドブームは「2000年問題」をきっかけとしたITブームだが、根底には90年代からの世界的な規模での「IT革命」と、高い水準の工業技術者を排出しつづけたインドの教育政策の結合がある。今日の第3次インドブームは、国内消費力の上昇という新しい要因を含む。
インド経済には独特の「天候リスク」がある。GDPに占める農業の比率は18.6%(05年)と高く、就業者の6割は農業従事者となっている。これは国内の消費動向を大きく左右する。
他方、産業構造を見るとき、インドは第一次産業主導から第三次産業主導へと一足飛びの変化を見せている。この変化の主役はソフトウェア産業に代表されるITサービス部門。
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