まずは後期高齢者医療制度について。
国民健康保険制度の基本を述べて、4月1日スタートの後期高齢者制度について。①75才以上だけからの保険料による基金をつくる(そもそも貧困)、②保険料は年金から天引き(特に貧困世帯には大きな圧迫)、③滞納すれば容赦なく保険証を奪う(10割負担となればもう医者にはいけない)、④治療費(入院費を含む)の抑制を医師・病院に指導する、⑤このように75才以上を特殊な扱いとするのはこの年齢になればどうせ長くは生きられないから。
その昔、高齢者医療を「枯れ木に水をやる」と表した大臣がいたが、舛添氏もまったく肩をならべている。
問題の根底には国の医療費抑制策がある。それは他方で、医師減らし政策にもあらわれている。これが医師不足・病院不足・医師の労働強化をまねき、そこに医療裁判の増加もくわわって「命にかかわる治療を避けたい」との医師の希望を強めている。それが産科医の不足に典型的にあらわれる(すでにたつの市では出産ができない)。いずれも、この国の税金の使い方にかかわる大問題。
テキスト11~21ページを読んでいく。
96年の奥田ビジョンを1つの画期として、政治は「構造改革」へ大きな転換をすすめる。これを引き受けようとしたのが橋本6大改革、それは、一定の揺れもどしをへながら小泉「構造改革」に受け継がれる。
内容の柱は、①企業のもうけ第一主義に対する公的規制の緩和と、②「小さな政府」の名による福祉・医療・教育分野に典型的な予算の削減。ここにはアメリカ企業の利害も深くかかわっている。
奥田ビジョンは財界からの改革要求だが、背景には財界自身の性格変化があった。鉄鋼・ゼネコンなどから自動車・電機への主力産業の変化である。これに対応した政治の改革をすすめるために、①財界通信簿、②財界斡旋による自民党執行部への献金集中、③小選挙区制のもとでの「公認」権限を活用した派閥の解体が進められる。
小泉首相がいう「自民党をぶっ壊す」は、鉄鋼・ゼネコンなどの大型公共事業推進勢力と深く結びついた派閥主導の自民党を、製造業多国籍企業の利害をより強く反映できる自民党へと改革することだった。
2007年の参議院選挙における安倍自民党の大敗は、憲法問題と同時に、こうした経済・政治改革への国民の強い不満のあらわれだった。今日、後期高齢者医療制度にも、日毎に批判が高まっている。
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