テキスト第4章「政治資金の流れにみる財界支配」210~235ページを読み終える。
外国勢力の政治への影響を配するとの建前で許されずにきた外資系企業からの献金が、2006年の臨時国会で可決される(自民・民主・公明・国民新党賛成)。経団連役員企業に占める外国人持ち株比率は急速に上昇しているわけだが、そこには「構造改革」がアメリカを中心とするグローバリゼーション推進勢力の意向を強く反映したものであることが表れている。
自民党への献金は本部に集中し、これに「抵抗する」派閥・族の集金力は落ちていく。同時に派閥順送り人事は回避され、大量に発生した「小泉チルドレン」には派閥を通じない研修が用意されていく。
族議員形成の温床となった政務調査会の改革も進み、さらに「シンクタンク2005・日本」のような外部シンクタンクの設立も進む。これを推進した中川秀直氏はシンクタンクにおける財界との知恵と人材の共有を語り、経団連側はさらにただちに登用できる人材の育成を目論む。
これらの改革には小選挙区における公認候補選定基準の「厳格化」も重要な役割を果たした。
こうして「党主導」のボトムアップ型、各派閥・族議員グループによる利害調整型政治の物的基盤が破壊され、他方でそれにかわりトップダウン政治の頂点にたつ経済財政諮問会議が用意される。この動きに反対する者が「抵抗勢力」と指弾されることになるが、同時に、奥田経団連会長は国民を「抵抗勢力」になりうるものと早い段階から警戒感をあらわにした。
労働法制改悪や社会保障改革が国民の強い反発を生むことへの予想であり、またそれへの警戒があるからこその2大政党制への動きでもあった。
最近のコメント