テキストに入る。本と著者の基本情報は、「奥付」と「はじめに」から。
日本経済と金融を、かなり長期に渡って研究してきた著者が、「誰にでもわかる」ことをめざして書いたもの。
「はじめに」の解説。
この本が取り上げる大きな問題は、①景気と格差、②マネー経済(投機)、③アメリカ型経済への追随で良いのかという問題となる。
「第1章・景気は誰にとってのものか」
①サブプライムローン問題に端を発した現在の金融危機の進行に対し、EU諸国は共同管理の道を模索し、フランスのサルコジ大統領はサミットの解散を日本政府に求めている。さらにドイツのメルケル首相は、国民の預金を政府が守ると明言。これに対して日本の麻生首相は危機の震源地であるアメリカの意向をまず尊重すると。
②「経済」と「景気」は異なる。資本主義における「景気」とは企業の利益があがっているかの問題。それは2002年頃からはっきり回復している。また企業の多国籍化(製造業の空洞化)により、「景気」と国民生活のリンクがますますゆるくなってきている。製造拠点は海外に移動し、国内にあっても「競争力」のための低賃金労働がもっぱら求められる。結果として「好景気」と国民の貧困が並立する。
③大企業の景気回復の理由は、1)ワーキングプアを大量に生み出す人件費の削減、2)国民から預金金利収入を奪い取った低金利政策、3)中国等への輸出の拡大。「大企業がもうかれば国民もうるおう」という「構造改革」の根本の議論自体がまったく誤っている。
次回は、「中小企業いじめの構図」から。
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