テキストに入る。本や著者の基本情報は「奥付」と「はしがき」をもとに。
「はしがき」の解説。
①中国などアジアの政治・経済的な台頭→アメリカの対アジア政策の軟化→日本の強すぎる靖国色へのアメリカからの批判、という政治の世界的な玉突き現象が起こっている。
②第1章では「帝国主義」の時代から今日の時代への世界構造変化の原動力を探ってみる。第4章は日本の憲法問題。紛争を話し合いで解決する国連憲章にもとづく世界秩序づくりが大きな課題になる瞬間に、日本では自衛以外の目的での海外派兵が探求されている。そこに道理があるかを考える。
「第1章・世界構造の転換と帝国主義」の解説。
①少数大国が世界全体を植民地支配する時代と体系を、レーニンは「帝国主義」と呼び、その担い手である個別の大国を「帝国主義国」と呼んでいた。その時代を独占資本主義(大企業中心主義)の経済と結んでとらえたところに、レーニンの分析の特徴がある。それは20世紀初頭の世界の政治・経済構造そのもの。
②その後の世界では、一方に「社会主義」が誕生した。他方で、第二次大戦後には植民地体制が崩壊し、かつての「帝国主義国」たちも「植民地なき独占資本主義」を余儀なくされることになる。さらに今日は、アメリカの「帝国主義」諸政策が破綻と孤立を深めている。
③こうした変化を生み出す原動力は何であったか、晩年のレーニンに1つの見通しがあった。1つはソ連自身の健全な成長、2つは大国における平和・労働勢力の台頭、3つは「東洋」(植民地・半植民地・従属国等)の独立、これらの合流が新たな世界をつくるというものであった。
実際には、3は的中、2は現在大きく進行中、1はスターリン時代に完全に逸脱となった。とはいえ「社会主義」の成長を除く、大局の変化についてはかなり的確。
次回は、その2と3の関係を、より具体的に「フランス植民地帝国」の崩壊過程にそって見ていくことにする。
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