テキスト33~51ページを読む。①この100年の大きな構造変化、②フランス植民地帝国の崩壊にみる独占資本主義大国の変化、③51ケ国から193ケ国に育った国連の性格変化。
そうした変化をイラク戦争を強行したアメリカに対する世界の反発から確認する。フランスシラク大統領は「国連憲章の諸原則」に立ち返ることを求め、EU理事会および委員会は安全保障戦略文書で、国連を中心とした多国間主義を原則にすえる。そうした動きは、イラク戦争における「NATOの亀裂」にも現れた。
イラク開戦直後の03年9月の国連総会では、アナン事務総長がこれを国連憲章への「根本的な挑戦」と批判し、多くの国々からの批判がこれにつづいた。
今日の世界の動きを見るとき、アメリカを過大評価しないことの注意が必要となる。
第2章「世界の構造変化と日米関係」の「1『スマートパワー委員会報告』と世界の変化」に入る。
同文書は2000年のアーミテージ報告と同じく、超党派で次期大統領がとるべき外交政策を定めたもの。基本は、軍事力(ハードパワー)を軸にしながらも、これに外交(ソフトパワー)をからめたスマートパワーで世界をリードすべきとするもの。ブッシュ1期政権から2期政権への政策変化をさらにすすめて定式化するもの。
重要なのは、イラク・アフガンに集中しているあいだに世界構造の大きな変化が進み、アメリカの国際的威信が低下しており、それにもかかわらずこれにアメリカが対応できていないとする情勢認識。
これは特に民主党の大統領選挙候補者であるヒラリー、オバマ両氏の政策にすでに反映していた。
このような情勢認識を導く世界構造の変化として、EUにあっては統合の一層の前進と中国重視、TACへの加盟など、また南米にあってはアメリカからの実質的な独立をめざす「ボリバル代替統合構想」や社会主義の探求がある。
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