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貨幣は生産物交換の一定の発展があってはじめて必要とされるものだが、律令時代の貨幣は政治的外観整理の必要によって生み出される。
貨幣が内発的に必要とされるようになるのは室町時代。そこから中国銭が代用物としてつかわれ、秀吉・家康の時代に入って国内の通貨制度が整理される。
なお日本の貨幣は市場での役割と別に「まじない銭」としても活用される。穢れを「あちら」へ運んでくれる道具としてなど。
それ自体が価値をもつ貨幣から、額面と実際の落差が大きな貨幣(紙幣)への転換は、17世紀のイングランド銀行券に始まる。金貨の貸し付けと、これとの兌換を約した紙幣の貸し付けにより、貨幣は2倍の量となる。
それは25メートルプール1杯分しか存在しない金の量に制約されない貨幣の誕生でもある。支払いを口座間の振り替えでおこなう振り替え銀行は、イタリア・ドイツ・オランダなどで発展した。
今日の世界では、貨幣の働きは、実際に紙幣やコインを受け渡すよりも、口座から口座への振り替えが主となっている。さらに、異なる銀行間の振り替えを、中央銀行が仲立ちしていく。こうして貨幣は節約される。
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