無権利な非正規雇用者が、こうまで多くさせられてきた過程について述べる。
全国の家計可処分所得平均の変化。1985年37万3693円、1990年44万0539円、1995年48万2173円、1997年49万7036円、2000年47万2823円、2005年43万9672円、2006年44万1066円、97年をピークに逆転が起こる。
他方、資本金10億円以上の大企業のもうけは、次のよう。
経常利益 内部留保
1985年 11兆3731億円 62兆4093億円
1990年 18兆7798億円 112兆9786億円
1995年 13兆9050億円 134兆4790億円
2000年 19兆3945億円 172兆2582億円
2005年 29兆4326億円 205兆5062億円
2006年 32兆8342億円 217兆8235億円
国民の貧困化とは対照的である。〔労働者・市民の生活〕=①賃金・収入+②社会保障給付-③税金-④社会保険料、と大雑把にいうことができるが、①②が下がって、③④が増大しており、しかも、①②③④すべてが政治の決定、人災である。
それは、法律や予算を決める国会の改革をつうじて転換できるものでもある。
国民生活の悪化がはっきりとはじまる97年は、橋本内閣による「6大構造改革」が実施されはじめる時期。
労働問題にかかわっては、直前、95年に日経連から「新時代の『日本的経営』」が出されていた。「総額人件費削減」のための「労働力流動化」(正規減らし、非正規雇用の拡大)が主張され、これが99年の労働者派遣法「改正」につながっていく。
ただし、その後の状況には大きな変化が起こっている。「構造改革」のゆきづまりが、はっきりし、経団連会長企業のキャノンでも、社会的圧力による非正規雇用拡大路線の転換が始まっている。
小林多喜二『蟹工船』が、08年に新潮文庫だけで50万部も売れている。いくつかのマンガも発行され、新作映画も決定した。そこには、現状を抜け出すのに必要な何ものかがそこに込められているという心情がある。
次期衆議院選挙は、労働者派遣法を99年以前にもどす可能性をつくる選挙となる。
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