テキスト109~137ページを読んでいく。
第2章5節「『構造改革』政策と景気、そして暮らし」では、特に労働法制改革に焦点をあてる。裁量労働制(みなし労働制)の対象拡大、契約期間上限の緩和は、いずれも政府による労働条件の引き下げだった。
これは、憲法27・28条の労働権・団結権あるいは、それにもとづき「人たるに値する生活を営むための必要を充たす」ことを大前提した労働基準法の精神に反するもの。
第3章「財政赤字と暮らし」に入る。政府が財政赤字の最大の根拠とする国債残高は、「財政構造改革」を主張した橋本内閣以降に倍増している。「構造改革」は財政赤字を急拡大してきた。
最大の要因は税収減だが、その要因はさらに、景気悪化による税収減と税制改革の2つになる。税制改革にあっては、法人税と高所得者所得税の減税が行われる一方で、中・低所得者層については増税となっている。
戦後日本の税は、法人税と所得税を柱としたが、これはいずれも累進課税。根底には税財政政策が所得再分配を行うものとの思想があった。
89年に消費税が導入されたが、これは低所得者ほど生活圧迫の度合いが強いもの。今日では政府は、これを「基幹税」にするとしている。税財政政策がはたすべき思想そのものの逆転が起こっている。
政府は財政赤字を家計にたとえるが、家計は収入額を与件として組み立てる他ないのに対して、政府は必要な支出を先に割り出し、そこから税収の増減を操作できる立場にある。ここは家計との大きなちがい。
次回は、地方交付税は「仕送りなのか」の問題から。
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