テキストⅢ章・2「米国型金融システムと金融不安定性」を読む。
①米国型金融システムとは何か
金融資産の流通市場が発達、資金通達が株式市場をつうじて行われるシステム
1920~30年代の株式ブームと1929年大恐慌、33年・35年法で投資と銀行を切り離す
1980年代、株式市場中心型システムの復活
②銀行貸付の証券化と商業銀行
米国型金融システムによる商業銀行の収益悪化、預金を投資銀行にとられないための金融の自由化、無謀な融資による破綻、自己資本比率の上昇
銀行債権(貸付)の証券化
③サブプライム・ローン問題とは何か
映像「NHKスペシャル マネーの暴走が止まらない-サブプライムから原油へ」
④ケインズ的景気循環から新自由主義的景気循環へ
銀行貸付の証券化が07年グローバルな金融危機の制度的要因
90年代には金融資産の動向が景気を大きく左右するように、金融資産の肥大化による個人消費の拡大(架空の需要)
〔以下、映像「NHKスペシャル マネーの暴走が止まらない-サブプライムから原油へ」のメモ〕
NHKスペシャル マネーの暴走が止まらない サブプライムから原油へ
マネー流入による原油高騰、ガソリン、穀物の高騰、サブプライムローン
08年4月、プライベートジェットで産油国を目指す投資家・ウィルバー・ロス氏、運用額1兆5000億円以上、UAEに原油高騰で莫大なオイルマネー、それで企業買収を、ADIAアブダビ投資庁を訪問、推定総資産100兆円、世界最大の国営投資ファンド、6年前からのつきあい、90分の会談
ロス、この国は金あまり、どこに投資するかが課題、額が大きいので投資先探しもたいへん
世界のマネーはこの5年で2倍に、居場所を求めて利益を生む場所に襲いかかる、サブプライムローン、崩壊後世界はいまも深刻な後遺症に、総資産42兆円のベアスターンズ、サブプライムローンをふくんだ金融商品の販売に力、08年3月13日経営危機に、直前の噂で1兆円の資金が1日で引き出される、ロス氏にも買収しないかという電話が、政府も破綻を避けようと、ゴールドマン・サックスからの電話、結局JPモルガン銀行に救済合併されることに、金融当局が最大3兆5000円の投資を保証して
01年1月、ブッシュ、低所得者むけ住宅ローンを提唱、ローランド・アーナル(故人)サブプライムローンの貸し出しを最初に始めた一人、ブッシュの選挙資金を出し、後にオランダ大使に、ジョン・ダウリオ氏(アーナル氏から大量の資金)はメキシコからの移民に目をつけた、毎年20万人、多くは低所得で通常の住宅ローンは借りれない、もともと黒人・ヒスパニックにも貸し出し規制の差別が
ホワン・プリド氏、2年前にサブプライムローンを借りた、メキシコからアメリカにきて12年、3000万円の家、全額を業者は貸すと、収入は夫婦で月30万円、それでもローン返済が可能だと、2年は7.7%21万円、3年目から半年ごとにあがり、最後は14.7%に、利率があがる前にローンの借り換えをする、住宅(担保)価値の上昇を利用する、前のローンは返してしまう、借り換えのマジック、住宅価格が永遠に上昇することを前提に
ダウリオ氏、返済が滞っても他のローンを借りればいいと考えていた
サブプライムローンは爆発的に拡大、ベアー・スターンズは新しい金融商品の開発に躍起、2000年に金融バブル崩壊、これを再建したのがサブプライムローンを組み入れた金融商品の発売、目論見書・200ページにわたる商品の説明書、様々な住宅ローンを結合したもの、中には審査なし・収入なしというものも、それらの割合調整でリスクを薄める、格付けはトリプルAと評価されたものも多い(日本の国債より安全だと)、少しでも高い利率を求めてマネーが集中する
これを可能にしたのが金融高額者、シルバン・レインズ博士、もともとの専門は航空工学、その数学理論を応用、いくつもの要素を調べリスクをコントロールする
ウォール街は一斉にサブプライムローンを組み込んだ商品の販売に
ゲリー・フェルドマン氏(ベアー・スターンズ)、販売には高い格付けが必要だった、売れば売っただけ社員に手数料が入った、20代で年収4000万円、営業マンの競争は熾烈、競争に負ければ翌年にはその椅子に座れない
FRBは事態に気づいていた、しかしグリーンスパンはあえて対策に動かなかった
ビンセント・ラインハルト金融政策局長、グリーンスパンは市場にまかせればうまくいくと考えていた
05年、ブッシュ、持ち家政策をさらに促進、サブプライムローンの貸出額はさらにのびる
家を買いたい人がいるからローンを組むという関係から、ウォール街が商品製作にほしいだけのローンを発注するようになった、大量の注文がカリフォルニアの住宅街に、ダウリオ氏、ローンの貸し出し基準を下げてもっとローンをつくってほしい、それに応えて基準はどんどんゆるめた、もうけるためには当然だと、全米の機関にひろまっていく
ビーチ・ファースト・ナショナル銀行、サウスカロライナの地方銀行、06年からサブプライムローンの貸し出しに、ベアー・スターンズとの契約書、ローンは無条件で買ってもらえる、1件ごとに手数料を、莫大な規模に、どれだけ貸し出しても必ず買ってもらえるので安心だった、さらに25の機関から注文が殺到、翌07年にはあらゆる人にローンを組ませた、リスクをウォール街にまわしていたので大丈夫だった、ウォール街から全世界に、リスクも世界中に
06年7月、砂上の楼閣がくずれはじめた、住宅価格の下落、10年近くあがりつづけてきたが、7月がピーク、下降、ローン借り換えのマジックが崩壊していく、プリドさん一家、家の価格が1/3に暴落、借り換えができなくなった、滞納額は192万円に、家を銀行に差し押さえられた、トリプルAだった格付けが軒並み引き下げられる、マネーの逆流、3月13日1兆円のマネーがベアー・スターンズから逃げ出す、金融工学レインズ博士、リスクの分散がかえって問題を大きくしたく、リスクがどこにあるかわからなくなってしまった、リスクを誰も本当には理解していなかった
金融当局も予想しなかった、マネーのプロたちが取付騒ぎをおこす前代未聞の混乱
証券取引委員会(証券会社を監督する)、クリストファーコックス委員長、マネーがコントロールできなかった、証券会社に取付騒ぎがおきるとは、リスクがどこにあるのかわれわれ当局でもわからなくなっている
10年の住宅ブームにわいたカリフォルニア州、住宅立ち退きがあちこちで、住宅価格は月8%で低下、民間業者も示談金を支払いながら立ち退き交渉、プリド氏の家にも、1300ドルを受け取って2週間後に立ち退くと約束、業者には金融機関から早く家を売れとの連絡が、早く売らないとますますウォール街の損失が大きくなってしまう
全米で貸し渋りも起きている、ビーチ・ファースト・ナショナル銀行、ローンの相談窓口は大幅縮小、あらゆるローンで貸し出しを絞っている、ウォルト・スタンディッシュ頭取
みずほコーポレート銀行、NY支店、この日発表の失業率5.5に上昇、景気冷え込みは深刻に、
プリド氏一家、家をあけわたす日、両親の家に身をよせることに、業者がやってくる、すべての部屋がチェックされる、1300ドルの小切手
世界中のマネーが引き起こしたサブプライム・ローンのバブル、そのツケをマイホームの夢を求めた人が支払っている
歴史は繰り返されようとしている、景気回復のための低金利政策、あふれるマネーが向かった先は原油、フェルドマン氏は原油を組み入れた金融商品を売っている、次は原油、マサチューセッツ州年金基金、5兆4000億円を運用、ヘッジファンドに運用をまかせていた、サブプライムショックで20億円の損失、原油を組み込んだ商品をすすめられている、すでに2200億円を原油を組み込んだ商品に投資、あがる運用益
スタンレー・マブロマテス最高経営責任者、われわれがしなくても誰かが投資する、だから
している、
金融当局は制御できない、原油マネーをおさえると景気が冷え込む、FRBは悩みをかかえている、インフレがすすんでいるのに景気が後退、中央銀行の悪夢、いま原油でもバブルが
UAE、各国の政府系ファンドの会合、オイルマネーの運用責任者が顔をそろえる、ウィルバー・ロスは企業買収をすすめる、サウジアラビア、企業買収はだれにでもできるものではない、ロス氏いまはとても忙しい、今後数年はつづく
マネーの暴走をいまはだれも止められない
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