アメリカはどうやって手を引くかしか考えていないようだが,問題はいまイラクに生きている人々の生活である。
ブッシュ政権とともに,イラク戦争を支持したアメリカ市民,これに同調した日本の市民もその責任を問われることになる。
ブッシュ大統領の孤立は,アメリカ政界内部でも明白のようである。
国連事務総長「イラクは独裁下より悪化」 (日経新聞,12月3日)
「【ニューヨーク3日共同】今月末で退任するアナン国連事務総長は英BBCとの会見で、イラクが内戦に近づいているとの認識を重ねて示した上で、多くの市民が独裁ながら安定していたフセイン旧政権下の方がましだったと考えているとされることについて「そう感じるのはもっともだ」と述べた。ロイター通信が3日伝えた。
ブッシュ米政権は中間選挙の野党、民主党勝利を受けてイラク政策見直しを進めているが、フセイン政権打倒を「圧政の終焉」と位置付けており、事務総長の発言に反発する可能性もある。
事務総長は「イラクには残忍な独裁者がいたが、子供たちは学校に通うことができた。その際『うちの子ともう一度会えるだろうか』と親が心配することはなかった」と語った。
事務総長は、イラクのタラバニ大統領らが拒否したイラク情勢改善のための国際会議開催構想への支持を重ねて要請。イラク戦争について「国連査察官がもう少し長く活動できれば回避できた」と悔しさをにじませた。」
米のイラク政策見直し、年内にも・米補佐官(日経新聞,12月3日)
「【ワシントン=実哲也】ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は3日、ブッシュ政権が検討中のイラク政策の見直しについて、「大統領が内容に満足できれば、数カ月ではなく、数週間のうちに説明することになるだろう」と述べ、年内にも新方針を打ち出したい考えを明らかにした。
政権幹部がイラク政策の新方針を打ち出す時期に言及したのは初めて。CBSテレビの番組などに出演して語った。
ハドリー補佐官は新方針の策定にあたっては、6日に公表される予定の「イラク研究グループ(ISG)」の提言だけでなく、国防総省をはじめとした関係省庁、米軍、米議会指導者など、幅広い見解を踏まえたうえで判断する意向を示した。
部分撤退への言及など政策の大幅修正を促したラムズフェルド国防長官の機密メモについては、「検討すべき考え方について総ざらいしたもの」と述べるにとどめた。」
米大統領「不快だ」 辞意表明のボルトン大使と面談(産経新聞,12月5日)
「【ワシントン=山本秀也】ブッシュ米大統領は4日、辞意を表明したボルトン国連大使とホワイトハウスで面談した。記者団に対し、大統領は大使の辞表を受理したことを確認する一方で「私は不快だ」と語り、年内の駆け込み承認まで阻んだ連邦上院に不満をにじませた。
執務室での面談で、大統領は「大使は承認に値する人物だった」と発言。人権問題など在任中の貢献を挙げて、ボルトン氏を「自由と平和の強固な守護者」とたたえた。面談を前にホワイトハウスを通じて公表された声明で、大統領は上院による指名承認の拒絶姿勢に「強い失望感」を表明していた。
大使指名への承認権限をもつ上院外交委員会では、年内までの会期で与党共和党が多数を占めていた。このため大統領は、年明け後に同委の主導権が民主党に移る前の承認をめざしたが、共和党内からも同大使への異論が示されて、承認獲得の可能性はなくなっていた。」
伊軍、イラクからの撤退完了…駐留中に兵士32人死亡(読売新聞,12月2日)
「【ローマ=松浦一樹】イラク南部ナシリヤに駐留していたイタリア軍は1日、撤退を完了した。
同国軍は2003年6月、米ブッシュ政権のイラク政策に同調していたベルルスコーニ前政権が派遣。一時は兵員約3000人が駐留したが、同年11月の自爆テロで兵士17人が死亡後、イタリア国内で厭戦(えんせん)ムードが高まり、今年5月に発足したプローディ政権が年内撤退を公約。今秋から、段階的に撤退作業を進めていた。駐留中、兵士計32人が死亡した。」
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