1)冒頭,夏のゼミ旅行の相談を行なう。日程と場所は決まったらしい。卒論相談は「女性の労働と子育ての両立」(大西知子さん)から。とはいえ「両立」のために何が必要だというのか,あるいはそれを明らかにするために現実のどこを掘り下げていくのかという,その一番肝心なところがなかなか見えない。もっとも学びが必要である。「日本の人身売買をなくすために」(大西奈緒さん)は,日本が「受入大国」であることの問題を日本の「性産業」の隆盛と,これを利用者(男たち)の存在へとつなげていく。ただし,人身売買の実態,性産業の実態はどちらも誰にも明快なことではなく,その見づらい部分にどこまで踏み込むことができるかが論文の成否の鍵を握ることになる。
2)「外国人労働者入国についての課題」(藤原さん)は,フィリピン人の看護師・介護士が日本で安心して働くことのできる条件を追求しようとするもの。とはいえ,その具体的条件の具体的分析は,いまだこれからの課題にとどまっている。「日本の教科書検定制度を考える」(川元さん)は,良い教科書がなかなかつくられない現実と検定制度の関係を考える。戦後の教科書の歴史と,これに書き換えを求めてきた文部省の方針や書き換えの実態を知ることがまず先決。さらに家永裁判や今日の教育基本法「改正」問題など,教育と国家のそもそもの関係を問う視角も必要となる。
3)「日本の教育を救うのは誰か」(小南さん)は,文科省の「教育改革案」の危険性を指摘し,これに対案を示そうとするもの。中山文科相(元)の著書『甦れ,日本!』に,その改革の方向を見て,特に過度の競争社会づくりの進展に警鐘を鳴らそうとする。日本におけるその弊害への検討を深めるとともに,高い学力で注目されるフィンランドが「人は多様」であり「他人との比較」を行なうことに意味がないという教育観をもつこととの対比も展望できるテーマとなる。
4)終了後,学生たちがC新聞社の取材を受けていく。
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