テキスト74~92ページを読んでいく。
世界経済の構造変化をマネー経済の側面からみれば、「投資銀行」はじめアメリカ金融機関の窮地を、アジアや中東の政府系ファンドが支えようとした経済パワーバランスの変化が注目される。
とはいえ、その後の金融危機の深刻さは、アメリカからすべての投資銀行を消し去ってしまった。
マネーゲーム拡大の背後には、①世界的規模での生産と消費のギャップによる金あまりの巨大化と、②投機の自由の2つの条件がある。世界の貧困が拡大する中で、その救済に金をつかうことのできない資本主義の本性が世界的にも問題とされつつある。
金融危機の本格化以前にも、すでに世界のドル離れと通貨の多極化が進行していた。それは「ドル特権」の崩壊をすすめるものであり、世界の胃袋であるがゆえのアメリカの地位を急落させ、アメリカ経済そのものの世界的比重を低下させる。
長期の激動が予想される世界経済だからこそ、日本経済の内需主導性を高めることが必要になる。外需については、アメリカ一辺倒でなく、安定した東アジアとの相互依存を深める必要がある。
第3章「進む『東アジアの共同』と米日の対応」に入る。
世界構造の変化を東アジアに焦点をあてて具体的に見る。とりわけ独立後の東南アジアに対立と敵対を生んだベトナム戦争を体験した後のASEANが、不戦のためにTACを広げ、経済的連帯のために共同と統合をすすめる過程を見る。
またこれに対するアメリカや日本の対応を見る。日本は日本自身のためにも、アジアと世界のためにも、これの成功のために積極的に関与していくべきである。
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