〔東日本大震災と大津波〕
マグニチュード9.0(過去100年の世界で4回目、過去2000年の日本で3回目)、3つの地震の連動で巨大化
3月11日「直江津」足止め、12日長野県北部地震、17日まで連絡がつかなかった岩手の卒業生(防衛省に電話)
10m以上の津波(大洪水)、岩手県宮古市では水が38mの高さまで(過去最高級、1896年明治三陸地震に匹敵)、死者・行方不明者約2万数千人
〔「想定外」ではなかった原発災害〕
福島原発は即時運転停止、核燃料を冷やせず炉心溶融(86年チェルノブイリも79年スリーマイル島も)
津波・地震・送電事故等で「外部電源と内部電源のトラブルが同時に発生した場合にどういう事態が起こると考えているか」(吉井英勝議員、国会経済産業委員会、10年5月26日)、
「論理的には炉心溶融事故は起こりうる」(寺坂信昭原子力安全・保安院長)
〔あまりに危険な原子力発電〕
①「死の灰」(放射性廃棄物)が管理できない、②世界有数の地震・津波国、③運転が管理できない
〔日本の原発立地〕
稼働54基
計画14基
原発の集中地帯は、福島県と福井県
事故の危険は全国各地に
〔何より「人間の復興」を〕
NHKの番組をいくつか見ながら
①漁業のまち気仙沼の信用金庫の取り組み
②魚の加工会社の経営者の思い、「この街をなんとかしたい」という被災者自身の熱意、小さな規模のコミュニティを土台に
「復興」は「人間の復興」「人権の復興」、「大企業の利益の復興」(利益第一主義)でなく
〔大切な防災教育〕
釜石市の津波防災教育の成果、『経済』6月号、放課後の小学生たちが自分の判断で非難、中学生とも合流、中学生と手をつないで、大波を見て「もっと高いところへ」と生徒が先生に、保育所の子どもたちを抱え、散歩のクルマを押し、近所のお年寄りに声をかけて、子どもの犠牲者は1300人中5人だけ
〔被害者の再出発を可能にする支援〕
復興の原則、①被災者が再出発できる生活基盤の回復、②下からの復興、住民の合意を国・自治体が実現する
借金は国の責任で凍結・免除(ゼロからの出発)、住宅の再建、水産・農業・商工業・関係団体の再建、学校・福祉・医療など公的施設とネットワークの再建、交通の再建、自治体の再建、地域に仕事と雇用が生まれる建設の追求
〔復興に向けた政府の動き〕
6月20日参院本会議、復興基本法、民主党・自民党・公明党らの賛成で
大きな論点①「成長戦略」重視(企業重視)、②国の方針に自治体が責任を負う(上からの復興)
6月25日復興構想会議「復興への提言-悲惨のなかの希望」
大きな論点①「水産業復興特区」、②「震災復興税」(消費税増税)、③原発を「減らす」との言葉もない
〔財界団体の復興策(1)-原発再開〕
経済同友会「東日本大震災からの復興に向けて〈第2次〉」(4月6日)がはらむ問題点
日本の主な財界団体、日本経済団体連合会(政策と献金)、経済同友会(調査と提言、本音がストレートに)、日本商工会議所(地方経済をたばねる)
①「電力供給増」「火力発電の増強を速やかに」「7基中3基(最大330万kW分)が休止している柏崎刈羽原子力発電所について、専門家による安全性の検証や防災対策を十分行った上で、休止炉の早期再開をめざすべき」
※2007年7月、中越沖地震で世界最初の原発火災、東京電力発表で3000カ所以上の故障
〔財界の復興策(2)-道州制〕
②「将来の道州制の先行モデルをめざして、被害を受けた東日本、とりわけ「東北」という地域が主体となり、地域としての全体最適を図る」
③「東北の復興を、『新しい日本創生』の先進モデルとして、国際競争力のある、国内外に誇れる経済圏を創生する」
〔財界の復興策(3)-成長と財源〕
④「復興計画は財政健全化の道筋の中に描く」「税制・社会保障の一体改革や成長戦略などの諸改革も、復興計画と整合性のとれた形で遅滞なく実行する」
⑤「財源確保にあたって」「民主党がマニフェストに掲げた重要政策(子ども手当、高速道路無料化、高校無償化、農業者戸別所得補償制度)については凍結」「2010、2011年度予算の予備費の活用、現行の「高速道路休日割引制度」の中止も加えれば、総額で6兆円以上」
〔財界の復興策(4)-投機、庶民増税〕
⑥「復興には・・融資を行うための「復興特別基金」を創設」「財源として、政府保証付きの『復興基金債』を発行」「発行後1年を経過した復興基金債については、日本銀行による買いオペの対象」「復興基金債の利子は非課税とする」「外国為替資金特別会計の積立金の一部を活用することも」
⑦「復興基金債の償還に不足が生じた場合には、国民に広く負担を求める復興税の導入も検討」
〔財界の復興策(5)-企業再建の優遇を〕
⑧「法人実効税率の引き下げ見直しによる財源確保」は「慎重に検討すべき」
⑨「産業新興」「規制緩和、特区制度、投資減税、各種企業誘致策などあらゆる手段を講じ、民の力を最大限に活かす」「東北地方は、部品・素材などの開発・製造拠点が集積し、国内外のものづくりに大きく貢献してきた。こうした強みは、リスク分散も考えながら、地域の中で可能な限り再建を図り、更なる国際競争力の強化を図る」
〔財界の復興策(6)-農漁業の集約化〕
⑨「第一次産業については、農地の大規模化、他地域の耕作放棄地を活用した集団移転、法人経営の推進、漁港の拠点化など大胆な構造改革を進めることによって・・・、『強い産業』としての再生をめざす」
※漁業権を企業が買うための規制緩和
被災者の苦しみに寄り添う姿勢、被災した住民の「復興」への意思を尊重する姿勢が見られない
同様の提起は、日本経団連「国難を乗り越え『新たな日本』を創造する」(5月26日)他
〔『新成長戦略』の内容は〕
2010年6月18日閣議決定「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ」http://www.kantei.go.jp/jp/sinseichousenryaku/sinseichou01.pdf
第1章・新成長戦略・「強い経済」(規制緩和・法人税減税)・「強い財政」(消費税増税)・「強い社会保障」(消費税増税ができたときけ)の実現
「総理、閣僚のトップセールスによるインフラ輸出」「政府のリーダーシップの下で官民一体となって、高速鉄道、原発・・・」
第2章・新たな成長戦略の基本方針
〔成長戦略分野の第一にある原子力〕
第3章・7つの戦略分野(①環境・エネルギー、②健康、③アジア、④観光・地域、⑤科学・技術・情報通信、⑥雇用・人材、⑦金融)
戦略分野としての「①環境・エネルギー」の内容--「原子力や再生可能エネルギー産業を含むエネルギー部門」「新技術の開発や新事業の展開が期待される分野が数多く存在し、その向こうには巨大な需要が広がっている」
第4章・新しい成長と政策実現の確保
〔震災前からの日本経団連の主張〕
「民間活力で経済を再生し世界に貢献する」(総会決議)2010年5月27日 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/047.html
①「1. (2)経済のグローバル化の実態を踏まえた法人実効税率の引き下げと競争政策の見直しによる競争力強化、海外からの投資誘致」
②「2. (1) 税制抜本改革と社会保障の安定財源確保」
③「3. (2)経済連携協定の面的・質的拡充と地域経済統合の拡大-(7)官民連携による海外インフラ整備の推進」
〔原発・エネルギー政策についても(1)〕
2010年6月政府の「エネルギー基本計画」、2030年までに原発14基以上増設
日本経団連「エネルギー基本計画の見直しについての意見」(2010年4月7日)
「3・エネルギー供給構造のあり方」-(1)「エネルギー安全保障を確立」「原子力、石油、天然ガ ス、石炭等・・・エネルギー源の多様化と供給源の多角化」
(2)「とりわけ原子力はわが国のエネルギー戦略上、基幹となるエネルギー源」
〔原発・エネルギー政策についても(2)〕
「4・エネルギー産業の国際展開」
「(1)わが国の優れた環境・エネルギー技術を活かし、経済成長と国際貢献を同時に達成するため、高成長を続けるアジアをはじめ海外市場を開拓していく」
「(2)そのため、(1)海外市場の開拓への官民の一体化・連携した戦略的取組みの推進(・・・政府首脳級によるトップセールスも含めた総合的な民間ビジネスの後押し)」
〔原発推進での利益共同体〕
①電力会社(9電力)、②原発メーカー(西日本は三菱重工業、東日本は東芝、日立、3社で独占的に受注)、③ゼネコン(大成、鹿島、大林、清水、五洋、前田、熊谷、竹中、飛島、間、奥村・・・)、④資材メーカー(鉄鋼、セメント)、⑤銀行、⑥「公共事業」利権、⑦天下り・政治献金も
日本経団連は会長・副会長で19社、副会長・西田厚聰(東芝会長)、川村隆(日立製作所会長)、大宮英明(三菱重工業社長)--原発メーカー、副会長・宗岡正二(新日本製鐵社長)--最大の鉄鋼メーカー
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