「海南島慰安婦訴訟、中国人8人の請求棄却 東京地裁」(朝日新聞)。
「中国・海南島で旧日本軍の慰安婦にされ苦痛を受けたとして、同島の中国人8人(うち2人は死亡)が日本政府を相手にそれぞれ2300万円の慰謝料と謝罪広告を求めた訴訟で、東京地裁は30日、原告側の請求をいずれも棄却する判決を言い渡した」。
「矢尾渉裁判長は被害の事実は大筋で認定したが、(1)加害行為から20年以上が過ぎて『時の壁(除斥期間)』により賠償請求権は消滅した(2)旧憲法下では国は損害を賠償する義務を負わない(国家無答責の法理)――として、日本政府の賠償義務を否定した。原告側は控訴する方針」。
「被害の事実」とは「加害の事実」であろうが,あるまじき加害を認定しながら償いの必要はないとする。この判決に,はたして人の血は通っているだろうか。
「海南島戦時性暴力被害訴訟 請求棄却、事実は認定 東京地裁」(しんぶん赤旗)。
「矢尾裁判長は請求を棄却した一方で、旧日本軍の兵士によって拉致、監禁された上、継続的に性的暴行を受けたとする原告らの主張を詳細に認定。被害時に受けた恐怖が今も消えず悪夢にうなされるなどのPTSD(心的外傷後ストレス障害)についても認めました」。
「判決は、一九四七年に国家賠償法ができるまでは国に損害賠償を求めるための法律はなく、同法施行前に国家がおこなった行為について国は責任を取らなくてもよいとする法理を適用。また、旧日本軍による加害行為から同訴訟提訴までに二十年以上が経過し、一定期間の時が経過したことから原告の損害賠償請求権は消滅したと判断しました」。
「弁護団の小野寺利孝団長代行は、判決が原告一人ひとりについて旧日本軍による加害と被害を具体的に事実として認めたことは『重要だ』としつつ、『明らかな違法、不法行為を認めながら国の法的責任を不当にも免責した』と批判しました。『日本政府は判決の事実認定を真摯(しんし)に受けとめ、原告らだけでなく、すべての被害者に謝罪と賠償をおこなうべきだ』とのべました。
「(原告の)陳さんは今年三月の法廷で、十四歳のときから四年にわたって性暴力を受けつづけたことを生々しく証言しました。戦後解放されましたが差別を受け、流産・死産を八回も繰り返しました。判決後の会見では涙を何度もぬぐいながら『憤りを感じる。これだけの事実を知りながら責任を認めない。日本人に良心はあるのかと問いたい』と訴えました」。
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