ドイツのある州首相が,ナチ政権下の法務官を擁護する発言をした。
記事は,それを伝えるだけでなく,政府首相がそれをたしなめたということを伝えている。
過去の誤りに対する日本政府の姿勢との,落差の大きさがここにも現れている。
ナチ擁護 独首相が批判 “問題直視さけられない”(しんぶん赤旗,4月15日)
【ベルリン=中村美弥子】ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州のエッティンガー州首相(キリスト教民主同盟=CDU)が、第二次世界大戦中のヒトラー・ナチ政権下で海軍法務官を務めたフィルビンガー元同州首相を擁護する発言をしたことが、強い批判を招いています。メルケル首相は十三日、電話でエッティンガー州首相を厳しくたしなめました。
州首相発言 内外から辞任要求
エッティンガー氏は十一日にあったフィルビンガー氏の葬儀で、「フィルビンガー氏はナチ時代、人を死に至らしめるような判決を下したことはなかった」と述べ、ナチ支配下で従属を余儀なくされた被害者だと主張しました。
しかし、この発言はこれまでに明らかにされてきた歴史的事実と異なります。一九六六―七八年にバーデン・ビュルテンベルク州首相だったフィルビンガー氏は、ナチ政権下、海軍法務官として兵士二人に死刑を求刑しました。同氏はこの事実がメディアに暴露されたことをきっかけに、州首相の座から失脚しました。今月一日に九十三歳で死去したフィルビンガー氏が、自らの過去を悔い改めたことはありませんでした。
エッティンガー州首相の発言について、CDU党首でもあるメルケル首相は、元州首相としてのフィルビンガー氏の功績を認めながらも、「ナチ時代の重大な問題についても問われてきた」と表明。ナチ被害者の感情をくみ取るならば、この問題を直視することは避けられないとの考えを示しました。
独ユダヤ人中央評議会のクノブロッホ会長は、エッティンガー州首相の発言を「危険であり、(ナチによる迫害の)生存者にとって侮辱的な歴史のわい曲だ」と非難。ドイツ国内外から同州首相の辞任を求める声が上がっています。
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