南米の改革だが,ベネズエラが世銀への債務を完済し,エクアドルはIMFへの債務を完済したという。
またベネズエラは,アルゼンチンの債務を一部肩代わりしたともあり,さらにアメリカの意向が強く反映する国際金融機関とは別に,共同で南米銀行をつくる話が進んでいる。
他方,エクアドルでは新自由主義推進型の憲法を変更するための制憲議会の設置に,国民投票で多数の支持があったという。
この大陸の変化は実に目ざましい。
ベネズエラ債務完済 チャベス大統領 「自由になった」(しんぶん赤旗,4月16日)
【メキシコ市=松島良尚】ベネズエラのチャベス大統領は十三日、世界銀行に対する債務を十二日に完済したと発表しました。米国が関与したとされる二〇〇二年のクーデター計画を国民の力ではねかえしたことを記念する五周年式典で述べました。
チャベス大統領は「ベネズエラは国際金融機関に手を縛られていた。いまや国際通貨基金(IMF)にも世銀にもいっさい債務はない。これらの機関からベネズエラを自由にした」と強調。また、ベネズエラがアルゼンチンの債務の一部を肩代わりしたことが同国のIMF債務完済に役立ったとして、ベネズエラが「他国を支援する金融センターになった」と述べました。
脱IMFの動きが加速する南米では、域内諸国が資金を出し合って南米銀行を設立する構想の具体化が進んでいます。
IMFや世銀は、融資条件として民営化や規制緩和など新自由主義政策を各国に強要してきました。ベネズエラでは一九八九年二月、当時のペレス政権が受け入れたIMFの構造調整政策による公共料金やガソリンの値上げがきっかけとなり、首都で大規模な暴動が発生しました。
エクアドル改革へ前進 憲法制定議会設置が賛成多数 大統領 「新自由主義乗り越える」(しんぶん赤旗,4月17日)
【メキシコ市=松島良尚】南米エクアドルで十五日、新自由主義政策からの転換や資源主権の確立を改革の第一段階と位置付ける制憲議会設置の是非を問う国民投票が実施されました。民間調査機関の出口調査によれば、賛成が78・1%、反対11・5%、残りが白票・無効票で、承認が確実となりました。コレア大統領は同日、「未来を選択した国民の圧倒的勝利だ」と宣言しました。
コレア大統領は記者会見で、「この国は決定的に変わった。いつものように変革への恐怖をあおって制憲議会設置に反対した右派の戦術が失敗したからだ。国民はだまされない」と強調。民営化の公認などを盛り込んでいる現行憲法は新自由主義を法制化したものだと述べ、「このモデルを乗り越える新憲法づくりへの国民の参加」を呼びかけました。
同大統領はまた、同国に新自由主義政策を強要してきた国際通貨基金(IMF)に対する四千万ドル(約四十七億円)の債務を繰り上げ完済したことを発表しました。
制憲議会の設置はコレア大統領の最大の公約でした。新憲法には、資源主権の確立や地方自治体の再編成、国家機構の非政治化などが盛り込まれるといわれ、国民の提案も公募しています。
国民の多くに寡頭勢力の代表とみなされている右派勢力は主要メディアを通じて「反対」のキャンペーンを展開。しかし、国民は、豊かな天然資源が国民生活に生かされず、貧困と格差が広がる現状に対し、変革の意思を明確に示しました。
国民投票の公式結果が確定するまでには数日かかる見通し。公式結果の発表後、八日以内に制憲議会選挙が公示され、九十日以上、百五十日以内に実施されます。制憲議会の定数は百三十。同議会設立後、原則として百八十日以内に新憲法草案が作成され、国民投票に付される予定です。
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エクアドル 面積二十八万平方キロ(本州と北海道の合計を少し下回る)、人口は千三百二十万人。先住民と白人の混血が60%、ケチュアなど先住民が30%。一人当たりの国民総所得は二千六百三十ドル。コレア氏は昨年十一月の大統領決選投票で勝利し、大統領に就任しました。
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