第2回の米中戦略経済対話が、ワシントンで開始された。
アメリカ側は、対中貿易赤字が過去最大となったことから、人民元切り上げの「速度」をあげることを求めている。
これに対して中国は、「長期的な視点でみるべき」と、安直な対応を否定した。
中国には中国なりの経済開放戦略があり、そこが「なんでもOK」の日本との大きな違いとなっている。
【ワシントン=藤井一明】米国と中国の経済閣僚が集まり、政策課題を話し合う米中戦略経済対話が22日、ワシントンで開幕した。昨年12月の北京に続き2回目。人民元改革や知的財産権の保護策を巡り進展を強調する中国と、いらだちを強める米国の応酬が焦点。京都議定書の後の国際的な枠組みづくりをにらんだ地球温暖化対策では米中の連携を打ち出す見通しだ。
23日までの2日間の日程で、米国はポールソン財務長官、中国は呉儀副首相が共同で議長を務めた。ポールソン長官は冒頭のあいさつで「我々の政策の隔たりは変化の方向性ではなく、速度だ。米国人は我慢強くない」と述べ、人民元改革などを念頭に行動を急ぐよう強く促した。
呉副首相は「両国の貿易関係は長期的な視点でみるべきだ」と語り、米国に一定の忍耐を求めた。中国の対応の進度を巡り両国の温度差が早くも浮かび上がった。
呉儀副首相:米国着、中国の金融監督トップが初参加(中国情報局ニュース、5月22日)
「第2回米中戦略経済対話」で中国側の代表をつとめる呉儀副首相(写真)が21日昼、米ワシントンに到着した。空港ではポールソン財務長官が出迎えた。22日付で新華社などが伝えた。
今回の「対話」には、中国側から中国人民銀行の周小川総裁、中国銀行業監督管理委員会(CBRC、銀監会)の劉明康主席、中国保険監督管理委員会(保監会)の呉定富主席、中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)の尚福林主席ら約160人が参加した。銀監会、保監会、証監会の責任者が「対話」に出席するのは初めて。
一方、米側からはポールソン長官の他、グティエレス商務長官、シュワブ米通商代表部(USTR)代表、ジョハンズ米農務長官らが参加する。(編集担当・菅原大輔)
米中戦略経済対話スタート 4テーマで議論(5月23日、FujiSankei Business i.)
米中両国の経済閣僚が一堂に集まって協議する戦略経済対話の第2回会合が22日、2日間の日程でワシントンで開幕。米側から10人、中国から15人が参加し、経済・投資、環境・エネルギー、不均衡是正、技術革新の4テーマで議論する。
ポールソン米財務長官、中国の呉儀副首相の開幕声明に続き、キッシンジャー元米国務長官が1972年のニクソン元大統領電撃訪中から35周年を記念し、米中関係に関する特別講演を行う。
中国政府は先週、人民元相場の1日の変動許容幅拡大を決めたほか、外貨準備から30億ドルを米有力ファンドに出資する「チャイナマネー還流策」を発表。対中圧力をかわすため、米側の反応を瀬踏みする対応を相次ぎ打ち出している。
戦略対話は23日に終了するが、その後は中国側代表と米議会との協議も行われる見通しで、対中貿易赤字の急増にいらだつ議会から厳しい注文が出ることも予想される。(ワシントン 時事)
米中貿易不均衡、米は行動要請・中国は圧力を批判(朝日新聞、5月23日)
[ワシントン 22日 ロイター] ポールソン米財務長官は22日、米国は中国が貿易黒字削減に向け確固とした行動に出ることを待ち望んでいると表明した。一方、中国の呉儀副首相は、中国政府は圧力には屈しないとの姿勢を示した。
ポールソン長官は、この日始まった2日間にわたる米中戦略経済対話の冒頭のあいさつで「両国ともお互いの意図に対する疑念が深まっている。残念ながら米国では、中国が現実的にも仮想でも国際競争のマイナスのシンボルとなるほど、反中意識が台頭しつつある」と語った。
米議会では、中国の大幅な貿易黒字をめぐり、批判が強まっている。
呉儀副首相は、長官に続くあいさつで、通商問題での相違を政治問題化することは、状況の悪化につながるだけだと指摘。人民元相場が十分に切り上げられなければ中国からの輸入を規制する法案を導入すべきだとの米議会で聞かれる主張をけん制した。
対話が何ら実質的な成果に結び付かない可能性もあるが、米当局者からは、近年の世界経済成長の半分を担っている米中両国が対話を進めることは重要との意見が出ている。
グティエレス米商務長官は、記者団に「これは交渉の場ではない。特定の短期的な成果を得ることを目的としたものではない」と述べた。
ロイターが入手したシュワブ米通商代表部(USTR)代表の事務所が準備した文書によれば、ポールソン長官にとって主要目標の1つとなっている、中国金融サービスセクターでの外国人の出資の拡大については「まだいかなる具体的な措置でも合意に達していない」という。
その点について中国は、米国製品の購入を増やす用意があることを表明。呉儀副首相は「米国と共同で2国間の貿易不均衡に対応する効果的な措置を取っていく用意がある。それらの施策には、中国が米国からの輸入を拡大することが含まれる」と語った。
ただ「中国の国内問題の他の側面を批判したり、圧力を掛けて方針を強要するような」傾向には反対するとも述べた。
今回の第2回米中戦略経済対話協議で米国側は、昨年対中貿易赤字が過去最高に達したこと背景に、議会で高まる不満を抑制することが難しくなっている状況を中国側に伝えたい意向。
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