アメリカ下院の「慰安婦」決議案が、6月26日には外交委員会にかけられ、さらに本会議にもかけられていく見通しが明らかとなった。
いずれも可決する可能性がきわめて高い。
自民党の政治家等靖国派63名による「事実」の広告は、アメリカ政界および軍の強い反感を得ることとなった。
その様な結果が「見え見え」であったことから類推すれば、「事実」の広告は、「自立保守」(対米従属を緩和する靖国派)という政治潮流の旗揚げを意図したものであったのかも知れない。
財界とアメリカに見放された「保守」は、はたして、どこまで強い影響力をもちうるものだろう。
慰安婦:日本側の強制性否定広告に米国内で不快感(朝鮮日報、6月18日)
米国ワシントンの消息筋は16日、日本の指導者層63人が最近、旧日本軍による「従軍慰安婦」の強制連行はなかったという内容の広告を米国紙ワシントン・ポストに掲載したことに対し、同国の政府・議会が不快感を示しており、これについて問題提起していく可能性が大きいと語った。
特に日本側の広告が「多くの国は、軍人が一般市民に対して強姦(ごうかん)行為を働くのを防ぐため、売春街を設置している」とし、その例として、米国が1945年に日本を占領した後、日本政府に「慰安所」の設置を要請した、と明記している点について米国が異議を申し立てていくことが予想されている。
また、今年初めに日本を訪問した際、日本の歴史問題が東アジアの安定の障害になってはならないという意向を伝えていたディック・チェイニー副大統領は、この広告に不快感を示し、状況の把握を指示したという。
日本側の今回の広告によって、米国下院に提出されている、従軍慰安婦問題で日本に謝罪を求める決議案が採択される可能性がむしろ高まるのではないかとの見通しも出ている。米国の議員らは、厳然たる歴史的事実という審判が下されている従軍慰安婦問題を歪曲(わいきょく)しようという動きに強く反発しているというわけだ。米国下院のトム・ラントス外交委員長は16日、ロサンゼルスで開かれた基金への寄付を呼び掛ける集会で「慰安婦問題について日本に謝罪を求める決議案は、今月26日に外交委員会の本会議に上程される見通しで、大差で採択される可能性が非常に高い」と述べた。 ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員
米下院に提出されている日本軍慰安婦強制動員の糾弾決議案(HR-121)が26日、外交委員会会議に正式に上程される。トム・ラントス下院外交委員長は16日、ロサンゼルスのウィルシャープラザホテルにおいて韓国人団体の主催で開かれた招聘行事に出席し、「先月上程しようとして見送られた慰安婦決議案を26日、上程するつもりだ」と明らかにした。
ラントス委員長は、「私もまた、女性の人権問題である慰安婦決議案を支持しており、大差で通過する可能性が非常に高い」と語った。米議会では唯一のホロコーストの生存者であるラントス委員長は、「慰安婦問題はまだ解決されていないいくつかの問題の一つだ」としながら、「韓国の女性たちが受けた苦痛に対して、長い期間、正義が実現されていない」と付け加えた。
議会のある消息筋は、「決議案が一旦上程されれば、常任委員会では満場一致で通過する可能性が高い」としながら、「ナンシー・フェロシー下院議長も決議案への強い支持の意思を表明したことがあり、本会議への上程も近く行われるだろう」と語った。いっぽう、日本の議員など指導的人物63人は、14日付のワシントンポスト紙に、「慰安婦の動員に強制はなかったし、慰安婦たちへの待遇も厚かった」という内容の全面広告を掲載したことについて、米国内には強い逆風が吹いている(東亜日報16日付A30面記事)。
チェイニー副大統領は、「この広告は非常に不愉快な内容だ」と、補佐チームに広告の経緯について把握するよう指示したという。米海軍は日本側が広告文の中で、「米軍も1945年の占領以来、レイプを予防するため、慰安所の設置を日本政府に要請したことがある」と主張したことについて、「まったくのでたらめだ」と反ばく声明を準備しているという。
「従軍慰安婦決議案、通過する可能性大」米国下院(中央日報、6月18日)
太平洋戦争時の従軍慰安婦を強制動員した日本政府に公式謝罪を促す慰安婦決議案が米国下院を通過するものとみられる。
下院外交委員会のトム・ラントス委員長は16日、ロサンゼルスで開かれた自分の後援会で「決議案を26日、外交委員会に上程する」とし「私も支持している分、大きな票差で通過する可能性が非常に高い」と述べた。「これまで人権問題を扱ってきた者としてこの問題を非常に重要に考え、推進してきた」とし「決議案を通過させるのが私の任務」と強調した。
決議案上程に決定的権限を持ったラントス委員長がこのように述べ、これまで日本政府の熾烈な反対ロビーにさえぎられ、実現しなかった慰安婦決議案の通過が目の前に迫っている。この決議案を共同発議した米下院議員が140人に達した中で、ラントス委員長が上程意思を公式発表しただけに決議案は圧倒的な票差で外交委を通過する可能性が高い。外交委を通過すれば下院本会議にも近いうちに上程される。
米国の初の女性下院議長であるナンシー・ペローシー氏も慰安婦決議案を積極的に支持してということだ。したがってこの決議案が外交委員会を通過すれば下院本会議の通過もそれほど難しくないものとみられる。
決議案は米議会をパスしても法的な拘束力はない。しかし米国と国際社会に日本の蛮行を告発しながら日本政府に謝罪と再発防止を要求することなので、日本政府としては大きい圧迫を受けることになる。これによって日本の議員らが先週末、慰安婦動員に強制性がなかったと強弁する全面広告をワシントンポストに掲載するなど決議案阻止に力を入れている。しかしこの広告に接したチェイニー米副大統領が腹を立て、真相調査を指示するなど逆効果を生んでいるとワシントン政界の消息筋は伝えた。 ワシントン=カン・チャンホ特派員
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