中国の現状にかかわる2つの記事。
資本主義セクターの経済指導者たちと、共産党政権の関係がどうなるか。
チベット民族の「強制移住」の実態はどのようであるか。
この社会と政権が内部にかかえる矛盾は小さくない。
高所得『新階層』中国に1.5億人 非共産党員の企業家ら(東京新聞、6月17日)
【北京=鈴木孝昌】中国共産党機関紙、人民日報は、労働者、農民、知識人に続いて、私営企業家ら高所得者層を中心とした新たな社会階層が中国に出現したと報じた。新階層は非共産党員が多数を占め、「すでに発展の重要な勢力となった」としている。
人民日報が、党統一戦線工作部の陳喜慶副部長の話として、今月十一日と十五日に報じた。
新階層は、主に私営企業家と自由業の知識人たち約五千万人と関連従業員を含めた計約一億五千万人。彼らは十兆元(約百六十兆円)の資本を握り、技術的特許権の半数以上を独占。支払う税金は税収全体の三分の一を占めるという。
改革・開放前の中国は、二つの階級(労働者、農民)と一つの階層(知識人)に分けられていたが「経済体制の変化により、中国社会の構造に深刻な変化が起きている」(陳氏)としている。
ただ、新階層には腐敗や脱税、コピー商品販売などの過ちを犯す者もおり、共産党は「彼らを教育し、導かなくてはならない」と強調、新階層を組織化し、体制内に組み込む方針を示している。
強制移住で「中国化」進む チベット遊牧民の人権報告(中国新聞、6月18日)
【北京18日共同】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は18日までに、中国西部で伝統的な放牧生活を続けるチベット民族が都市部に相次いで強制移住させられ、チベット遊牧文化の衰退と同民族の「中国化」が急速に進んでいるとする報告書を発表した。
同団体は、強制移住政策の背景について「(中国化の推進で)チベット民族の独立運動を弱体化させ、封じ込めようとする中国政府」の思惑が透けて見えると指摘。また放牧地には、上海などから採鉱業者が進出し環境破壊をもたらしているなどとして「遊牧民は深刻な人権侵害を受けている」と警告した。
報告書は実際に移住させられた遊牧民約150人の証言や中国国内の研究論文などをもとに作成。強制移住は2000年以降、チベット自治区と青海、四川など4省にわたる広い地域で実施されていると結論付けた。中国政府はチベット民族の移住人口を公表していない。
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