医師不足で、通院「我慢」「市販薬」で。
これは市民の命と健康にかかわる重大問題。
解決策に、国や自治体の「直接介入」を求める声が強いのも世論の特徴。
生存権の保障に国は責任をもつとしているのだから、それは実に正当な声。
医師不足43%実感 尊厳死法制化は賛成80%(中日新聞、6月17日)
自分の周囲で「医師が足りない」と感じている人が43%に上ることが、本社加盟の日本世論調査会が今月二、三両日に実施した「医療問題」に関する全国面接世論調査で分かった。病院の診療縮小や閉鎖が相次ぎ、地域医療の危機とも言われる現状を裏付けた形。国や自治体の早急で実効性ある対策が求められる。「尊厳死」の法制化には80%が賛成した。
調査結果によると、医師不足を「大いに感じる」が16%、「ある程度感じる」が27%。「大いに感じる」が有権者十万人未満の小都市で27%、郡部で19%と多くなるなど自治体の規模や地域で差があった。
「大いに感じる」と「ある程度感じる」の合計をブロック別にみると、東北が52%で最多。近畿50%、北陸47%、甲信越44%、関東43%、四国42%、東海と九州各39%、北海道38%、中国地方37%の順だった。
不足を感じる理由を二つまで尋ねたところ「待ち時間が長くなるなど不便になった」が47%で最多。「病院や診療所が閉鎖したり、一部の診療科がなくなった」(37%)、「救急対応が遅かったり、たらい回しにされた」(28%)が続いた。
こうした現状に「かかる病院を変えた」(35%)「通院を我慢したり市販薬で済ませた」(18%)などの対応を迫られているが、「特に何もしていない」と、打つ手がない人も42%。
国もさまざまな医師不足対策を打ち出しているものの“特効薬”はないのが現状だ。調査で「急いで取り組んでほしい施策」を二つまで尋ねたところ、「地域医療に取り組みやすい環境整備」(46%)を求める回答が最多だったが、「国や自治体が医師配置を調整する」(35%)、「新人医師に一定期間へき地勤務を義務付ける」(21%)など行政の“直接介入”を求める声も目立った。
一方、終末期医療については、回復の見込みがなく延命治療しか残されていない状態になったとき、「人工呼吸器などによる延命治療は望まない」との回答が89%。法律で「尊厳死」を認めるべきだと思う人が80%と、多数派を占めた。
延命治療を中止するには「患者の意思が文書などで確認され、家族も同意」という最も厳しい条件が必要と考える人が全体の50%で最多だった。
▽調査の方法 層化二段無作為抽出法により、1億人余の有権者の縮図となるように全国250地点から20歳以上の男女3000人を調査対象者に選び、調査員が直接面接して1858人から回答を得た。回収率は61・9%で、回答者の内訳は男性48・0%、女性52・0%。
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