2008年度政府予算の財務省原案が公表された。
国民には負担拡大を求めながら、軍事費や公共事業費については「節約」のそぶりさえ見せもしない。
必要なのは一層の批判であり、国の形についての大きな対案の提示である。
08年度予算財務省原案 社会保障を圧縮 大型事業は軒並み増額 一般会計は83兆613億円(しんぶん赤旗、12月21日)
福田自民・公明政権が初めて編成した二〇〇八年度予算の財務省原案が二十日の臨時閣議で各省庁に内示されました。額賀福志郎財務相は記者会見で、「『骨太の方針2006』で定められた『歳出改革』を確実に進めることができた」と表明。社会保障削減と庶民増税を国民に押しつけ、大企業を応援する小泉内閣以来の「構造改革」路線を継承する予算案となりました。日本共産党の市田忠義書記局長は同日、談話を発表し、「苦しむ国民に背をむけている」と厳しく批判しました。
予算の規模を示す一般会計は、〇七年度当初予算比0・2%増の八十三兆六百十三億円。国債の新規発行額は〇七年度当初予算より八百四十億円少ない二十五兆三千四百八十億円と、四年連続で減額しました。「財政健全化に向けて強い意思を示した」(額賀氏)というものの、その中身は、社会保障関係費の「自然増」抑制などによるものです。
社会保障分野では、高齢化に伴い七千五百億円と見込まれる「自然増」分を、診療報酬・薬価等改定による削減と政府管掌健康保険への国庫負担削減で二千二百億円圧縮しました。具体的には、政管健保の国庫負担を大企業の労働者らが加入する被用者保険に肩がわりさせます。また、三年かけて段階的に廃止するとした生活保護の母子加算を〇七年度に引き続き削減します。
一方、「成長力強化」を口実に、大型公共事業については軒並み増額。三大都市圏環状道路は二千五十三億円(〇七年度当初予算比1・8%増)、スーパー中枢港湾の整備は六百一億円(同14・7%増)などとなっています。
海外派兵型予算や軍事利権への批判の高まりにもかかわらず、軍事費は四兆七千七百九十三億円(同0・5%減)と五兆円規模を維持しました。米軍への「思いやり予算」は二千八十三億円と同九十億円の減額にとどまりました。
08年度予算財務省原案 生活保護下げ見送り(しんぶん赤旗、12月21日)
二〇〇八年度予算原案について財務省が内示した二十日、厚労省は、生活保護(扶助)基準の引き下げを都市部を含め、見送ったことを明らかにしました。同省は、低所得者の消費水準と比べ生活扶助が高いとして引き下げを検討していました。「引き下げはさらなる貧困を招く」との批判と国民の反対運動が見送りに追い込みました。
同省の研究会「生活扶助基準に関する検討会」の委員全員が、生活扶助基準の引き下げに懸念を表明していました。
三分の一ずつ削減し〇九年度に廃止するとしている母子家庭への加算の削減(二年目)については実施。「ダブルワークをしている実態を知っているのか」と撤回を求める声があがっています。
世論と運動の勝利
全国生活と健康を守る会連合会の辻清二事務局長の話 引き下げの見送りは、国民世論と運動が国の政治を動かしたもので、国民の勝利です。母子加算、老齢加算を元に戻させ、生活扶助基準を下げさせない運動をさらに強めていきます。
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