自衛隊をいつでも海外に派兵できるようにする派兵恒久法の議論が本格化している。
安倍前首相が繰りかえし語った議論であり、その後、民主党も「アフガン支援特措法案」の中で推進をめざした議論である。
山崎自民党元副総裁は、法律の実際の活用のためには衆参のねじれを正す「政界再編」が必要だと語る。
他方、自民・民主・公明・国民新各党からなる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」は、「いかなる政権ができても実行できる共通の基盤」をつくると述べている。
道がどちらに落ち着くにせよ、①派兵恒久法への企みの危険性を語るとともに、②憲法の精神の現代的な輝きを語り続けることが大切である。
国会内の数の力で「改憲手続き法」を成立させた安倍政権は、3ケ月後には瓦解した。
「読売新聞」の世論調査によれば、いよいよ護憲派が改憲派を超えつつある。
そうした世論の変化をすすめ、世論の力を、粛々と鍛えつづけることこそ本道となる。
派兵恒久法 強まる動き 自民・山崎氏 「臨時国会で成立を」(しんぶん赤旗、4月24日)
自民党の山崎拓元副総裁は二十三日に東京都内で開かれた山崎派政策セミナーで講演し、自衛隊を常時海外派兵できる態勢をつくる自衛隊海外派兵恒久法(一般法)について、今通常国会会期末までに要綱をまとめ、秋の臨時国会で成立をはかるとのスケジュールを示しました。
山崎氏は、自民党外交調査会長と一般法与党プロジェクトチーム座長をかねる立場から発言したもの。山崎氏は、石破茂防衛相から「早く進めてくださいと要請があった」と明かした上で、「五月の連休明けに公明党の賛同を得て与党プロジェクトチームを開き、六月十五日の今国会会期末までに法案要綱をまとめ、夏休み中に法案化し、秋の臨時国会において処理する」とのべました。
恒久法成立後は、海外派兵する自衛隊が現在の特措法ではできない治安活動にも踏み込むなど、現在ある一連の自衛隊派兵特措法とくらべても一段と憲法逸脱の内容を含む見通しです。
そのため、山崎氏は「政治構造を変えて衆参ネジレ現象をなくさなくてはいけない。でないとできた法律を使って貢献できない。政界再編は必至だ。この法案ができる前の解散は困る」とのべ、恒久派兵態勢を支える政治基盤を構築するための政界再編の必要を強調しました。
自・公・民など若手議員の会 法案作り推進
自民、民主、公明、国民新各党の国防関係議員らでつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が二十三日、国会の衆議院議員会館で総会を開きました。「一般法(派兵恒久法)を制定することは急務」「集団的自衛権に関する議論を深める」などとする新方針を確認し、三年ぶりに活動を再開しました。
総会後、民主党の前原誠司副代表は記者団に「恒久法について議論し、法案の骨子、中身についてお互いが意識を共有できるようにしたい」と発言。中谷元・自民党安全保障調査会長(元防衛庁長官)も「恒久法の議連案のようなものができればいい」とのべるなど、テロ特措法やイラク特措法の期限切れ(来年一月と七月)をにらんで、自衛隊の随時派兵と海外での武力行使に道を開く恒久法づくりをすすめる考えを示しました。
事務局が確認したところでは、自民党七十二人、民主党三十四人、公明党四人など、衆参合わせて百十人以上の議員が参加。総会には議員本人三十人が出席しました。
中谷氏は、総会のあいさつで、「いかなる政権ができても実行できる(安全保障の)共通の基盤を形成する」と提起。前原氏は「特措法やPKO法を包含したような一般法(派兵恒久法)の議論が出てくる」と強調しました。中谷、前原、公明党の上田勇衆院議員の三氏が代表幹事に就任しました。
同議連は今後週一回のペースで会合を開きます。
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