まずは、パキスタンの憲法停止問題をめぐって。
「パキスタン 根本問題はアメリカに対する戦争支援」を解説していく。
「対テロ」活動をめぐるムシャラフ大統領と最高裁の判断との相違をきっかけとした、今回の憲法停止だが、「対テロ戦争」支援を高く評価してきたアメリカ・イギリスからも批判があり、大統領の姿勢が軟化しはじめている。
とはいえ、根本にはイスラム国家であるパキスタンが、イスラムを敵視するアメリカの「対テロ戦争」に協力すること自体の無理がある。問われているのは、その外交姿勢そのものである。
つづいて「第3次アーミテージ報告-失われた信頼を取り戻すために」を解説していく。
第1次・第2次のアーミテージ報告が、実際のブッシュ第1期・2期政権に大きな影響を与えてきたように、第3次のこの報告も、ポスト・ブッシュ政権の外交に大きな影響を与える可能性がある。
一国主義や有志同盟でなく正規の同盟をという点にかかわっては、フランス・サルコジ政権の新たな親米ぶりが1つの焦点となるだろうし、今年のAPECで率先して温暖化ガス排出の数量規制をもうけたあたりにも、第3次アーミテージ報告との方向の一致がすでに見られている。
アフリカに対する中国の影響力の強さに対する警戒心も語られているが、アフリカ諸国との関係強化をはかる手段が、無条件の経済援助となっているところに、米中の関係が従来型の主導権争いではない、さらに進んだものとなっていることがあらわれている。
この点でも、中国台頭が世界構造の転換に及ぼす意義は大きい。
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