小泉首相は次のように述べたという(発言要旨の一部)。
「【参拝の思い】日本は過去の戦争を踏まえ、二度と戦争を起こしてはならない。戦争で命を投げ出さなければならなかった犠牲者に対し、心からなる敬意と感謝の念をもって参拝している。今年もその気持ちに変わりはない」。
「【A級戦犯】戦争の責任を取って、戦犯として刑を受けている。それとこれ(参拝)とは別だ。特定の人のために参拝しているのではない。これは日本の文化だ。A級戦犯のために行っているのではない。戦没者全体に対して、哀悼の念を表するために参拝している」。
だが,第一に,靖国に祀られた「戦没者」には,空襲や原爆の犠牲となった一般市民はふくまれない。したがって,「戦争で命を投げ出さなければならなかった犠牲者」のすべてがここに祀られているわけではない。
第二に,靖国はかつての侵略戦争を肯定する立場から,戦死した軍人・軍属等の顕彰(功績などを世間に知らせ,表彰すること)を目的とする神社である。それは死者を弔う(死をいたむ,冥福を祈る)にとどまらない特別な意図をもった神社である。
第三に,小泉首相はこの国の政治を代表する立場にある人物である。
そうであれば,本来,首相が説明するべきことは,なぜ一国の代表が,上のような特殊な戦争観をもち,その目的にしたがって「特定の人」だけを祀っている靖国神社への参拝を行う必要があるのかという,その理由であった。問題をごまかしてはいけない。
また,このような思想と立場を「日本の文化」だと平然と語るところに,憲法や教育基本法の「改正」にこめられた小泉首相等の願望が見える。
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