問題の1つは,「ワーキングプア」を避けうる正規雇用の求人倍率が依然0.62と低いこと。これは,残り38%はどんなにがんばっても,自立して暮らすことはきわめて困難だということである。
他方,それ以前の大問題は,これらの統計が「働く意思」への評価のフィルターをかけることで,失業者の数を実際より小さく見せるものとなっていること。
そもそもヨーロッパでは「正規雇用で働きたいが,それがないので仕方なく非正規で働いている」という人さえ「失業者」としてカウントされる。それでは食っていけないからである。
日本にも,国民の生存権(憲法25条)や勤労権(27条)をまじめに保障しようとする当たり前の政治が必要。
「8月の完全失業率、横ばいの4.1%・総務省『雇用改善続く』」(日経新聞,9月29日)。
「総務省が29日発表した8月の完全失業率(季節調整値)は4.1%となり、前月と同じだった。完全失業者数は前年同月より12万人減った。総務省は『雇用情勢の改善は続いている』と判断している。一方、厚生労働省が同日発表した8月の求職者1人あたりの求人の割合を示す有効求人倍率(季節調整値)は前月を0.01ポイント下回る1.08倍だった」。
「完全失業率は15歳以上の働く意思がある『労働力人口』に占める完全失業者の割合を指す。男女別の完全失業率は男性が前月比0.1ポイント上昇の4.3%、女性は横ばいの3.9%。年齢別では15―24歳(7.9%)は平均を上回るが、前年同月比0.6ポイントの低下と改善幅は大きい。理由別では非自発的な『勤め先都合』の失業が前年同月比7万人減った」。
「有効求人倍率は5カ月ぶりに前月を下回ったが、景気の先行指標とされる新規求人数は前年同月比4.6%増となるなど「企業の採用意欲は衰えていない」(厚労省職業安定局)。正社員の有効求人倍率は0.62倍となり、前年同月を0.05ポイント上回った」。
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