「現在の景気回復が始まった2002年2月からの4年半余りの期間に、企業の経常利益は8割以上増えた半面、月給や残業代などを合わせた従業員1人当たりの賃金はわずかながら減少していることが共同通信の調査で17日、分かった」。
「拡大を続ける景気は、今年11月に「いざなぎ景気」の57カ月を抜き戦後最長となることがほぼ確実。ただ、名目国内総生産(GDP)の増加率も過去の景気拡大局面の中で最低に近く、『実感なき景気回復』を裏付けた」。
国内の労働力人口の8割が労働者だから,それらの人を置いてきぼりにした一部の大企業だけの「景気回復」(利益回復)ということだ。
「調査は、財務省の法人企業統計と厚生労働省の毎月勤労統計を基に、季節調整して企業利益と個人の賃金の伸びを比較した。それによると、今年4-6月期の法人企業統計では、全産業(金融、保険業を除く)の経常利益は14兆4929億円。景気回復が始まった時期の02年1-3月期に比べて86・5%増と大きく伸びた」。
「一方、毎月勤労統計から、今年4-6月期の雇用者1人当たりの現金給与総額を02年1-3月期と比較すると1・4%のマイナス。最近はわずかながら上昇に転じているが、まだ回復時点の水準にも達しておらず、景気拡大の“恩恵”は企業部門にとどまっている格好だ」。
つまり賃金水準を低く抑えることで,企業利益の拡大がはかられているということ。
「また、景気の『谷』から『山』までの名目GDPの増加率を比較すると、戦後最長のいざなぎ景気(1965年11月-70年7月)が2・23倍だったのに対し、今回は今年4-6月時点で1・04倍。いざなぎの増加率は、比較可能な55年以降11回の景気拡大の中で最大だったが、今回は10番目にすぎず、景気の“勢い”が極めて弱いことを示した」。
国内の消費能力をむしろ破壊しながらの企業利益であるから,それは輸出や一時的な設備投資の拡大に依存するしかない経済体質の脆弱性を生むことになる。
最近のコメント