またしても南米である。
コロンビアの西に位置するエクアドル(東はベネズエラ)。
「自立と公正」めざす「市民革命」だという。
人としての「尊厳」,アメリカからの「自立」という言葉が印象的。
エクアドル コレア氏 大統領就任 公正な社会へ「市民革命」(しんぶん赤旗,1月17日)
「南米エクアドルで十五日、昨年十一月の選挙で当選した左派のラファエル・コレア元経済・財務相(43)が大統領に就任し、「新自由主義の長い闇は終わった」と強調しました。任期は四年です。
コレア新大統領は就任演説で、自立と社会的公正をめざす五つの柱からなる「市民革命」にとりくむと表明しました。
第一の柱は「憲法革命」です。新大統領は、政治や司法が特定の党派に利用されて国民の声が反映されない現状をふまえ、「政治制度はまひしている」「国会は信頼を失っている」と指摘。制憲議会発足による新憲法づくりを提唱し、その是非を問う国民投票を実施するための政令に署名しました。新憲法には、司法機関の政治からの独立や参加型民主主義の確立などを盛り込む考えです。
第二の柱は、腐敗、汚職とのたたかいです。新大統領は、政治、経済モデルがこの問題を悪化させたと指摘。また、大資本や債権者の利益を保障するこれまでの法律の中にも腐敗に類するものがあるとの認識を示しました。
新大統領は、第三の柱として新自由主義の克服をめざす経済革命を提唱。貧富の格差の拡大などにふれながら、「尊厳と主権にもとづく政策」を優先し、貧困層に目を向けると強調しました。対外債務の再編や国際金融機関の支配からの脱却などをめざします。
第四は、教育・医療革命です。新自由主義のもとで軽視されてきたこの分野への投資は長期的な発展にとって最良の政策であるとし、貧困や差別の解消をめざすと強調しました。
第五に掲げたのは地域統合の推進です。南米共同体の運営上の制度化や社会分野などでのいっそうの協力を呼びかけるとともに、共同体の本部をエクアドルに誘致する考えも示しました。
就任式には、ベネズエラのチャベス大統領やブラジルのルラ大統領、ボリビアのモラレス大統領、チリのバチェレ大統領、ニカラグアのオルテガ大統領らが出席。米政府代表のグティエレス商務長官やイランのアハマディネジャド大統領も参加しました。(松島良尚)
国民支持背景に変革
解説
コレア新大統領の就任は、二期目に入ったブラジルのルラ政権や三期目のベネズエラのチャベス政権、ニカラグアのオルテガ新政権の発足などとあわせ、中南米の変革のいっそうのうねりを改めて示しています。
圧倒的多数の国が新自由主義の克服をめざす南米では、新モデルの構築に向け、大陸規模で協力と連帯が強まります。
コレア氏は選挙中、新自由主義の克服や対米従属の打破という点で際立っていました。西部マンタの米軍基地の撤去や米国との二国間自由貿易協定反対、資源関連の多国籍企業との関係見直しなどを掲げました。
最大の公約は、就任演説で強調した制憲議会設置による新憲法づくりですが、制憲議会設置には議会の承認による現行憲法の改正が必要だと指摘されています。
コレア氏を擁立した「国民同盟」は、新憲法にもとづく新国会を展望して、大統領選と同時に行われた国会選挙(定数百)には一人も立候補しませんでした。五日に発足した新国会は、中道左派政党の議員をのぞき、八十二人が大統領反対派です。
その後、グティエレス元大統領が率いる政党「愛国的社会」が制憲議会設置を支持すると表明。これによって、議会で大統領派が過半数を占めることになりました。しかし、コレア新大統領は、グティエレス氏が国民の期待を裏切って国際通貨基金(IMF)に屈服した問題を批判。あくまでも国民の支持を背景として変革を進めていく姿勢を表明しています。(松島良尚)」
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