「格差社会」批判への政府による対応策である。
とはいえ,目的は「格差社会」をすすめる「構造改革」路線の転換ではない。
だいたい月80時間超の残業というのは「過労死ライン」の数字である。
部分的改良に内実をともなわせる努力が必要なのは当然だが,あわせて所定内労働でまともに生活できる賃金の支払いをどう実現するか,その本来の課題をわすれないことが大切である。
最低賃金の引き上げについては,「生活保護との整合性」が,逆に保護水準の引き下げにつながらないよう監視が必要。
それくらいのことはやりかねないのが「構造改革」の政府である。
労働関連3法案を閣議決定 格差是正目指す(朝日新聞,3月13日)
政府は13日、残業代の割増率を引き上げる労働基準法改正案、最低賃金の引き上げを目指す最低賃金法改正案、雇用ルールを新たに定める労働契約法の労働関連3法案を閣議決定した。いずれも労働環境を改善し、格差を是正する狙いがある。
労基法改正案では、現行法で「25%以上」とされている残業代の割増率について、残業時間が月45時間超~同80時間の場合は「法定を超える率(25%超)」とする努力義務を設け、月80時間超の場合は中小企業を除き、「50%以上」に引き上げる。
厚生労働省は当初、一定条件を満たした社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」もセットで導入する予定だったが、労働界や参院選を控えた与党から反発を招き、断念。残業代アップだけを盛り込んだ。
最賃法改正案は、働いても生活保護以下の収入しかない「ワーキングプア(働く貧困層)」対策の目玉だ。最低賃金の決定に際し、「生活保護との整合性に配慮する」との規定を盛り込むことで最賃引き上げを目指す。
だが、実際の金額は審議会で労使代表が交渉して決めるため、野党からは「大幅な引き上げになるかは疑問」と批判が集中。このため、政府は法案とは別に、政労使の3者代表による「円卓会議」を3月中に設け、中期的な最賃アップに向けた合意を得たい考えだ。
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