大企業の本音が「利益第一」であることは、どこの国でも変わりがない。
問題はそれに対する社会の規制の力の差。
史上最高の利益をあげながら、ワーキングプアの拡大を求め続けるこの国の大企業に、国民が知恵と勇気をもって対抗せねば。
大企業が大幅人員削減 閣僚・保守からも批判 ドイツ(しんぶん赤旗、3月5日)
ドイツの大企業がいずれも大きな利益を上げながら、二月下旬に相次いで大幅な人員削減を発表し、ドイツ労働総同盟(DGB)などの労組や国政で批判が強まっています。
二月に人員削減計画を発表したのは高級自動車のBMW、電機大手のシーメンス、化学のヘンケル。いずれも世界五百社に入る大企業で、BMWとヘンケルは〇七年決算で「歴史的な利益」(ドイツ公共第二放送)をあげました。BMWは八千人、シーメンスは二千人、ヘンケルは三千人を削減するとしています。
ほかにも今年末までに五百人以上の人員削減を決めている大企業は七社。中でも電話会社のドイツ・テレコムは三万二千人を削減する計画です。
企業側は通貨ユーロの歴史的な高値、原材料の高騰や米国の景気後退も予想される中での「企業内の構造改革であり、国際競争をする企業としては避けられない」(ドイツ経営者団体連盟のフント会長)と正当化しました。
これに対しDGBのブンテンバッハ役員は「大きな利益を上げながら、労働者を犠牲にしてさらに大きな利益を上げようとするのは許しがたい」と強く批判しました。社会民主党(SPD)出身のショルツ労働社会相は「企業は好景気を利用して、人員削減の代わりに、雇用を増やし労働の質を高める教育をすべきだ」と注文。保守のキリスト教民主同盟(CDU)からも「利益を上げながらの大量解雇は理解できない」(マイスター院内副総務)と批判が出ています。
二月二十八日には、シーメンスの工場があるミュンヘンで労働者八百人が「シーメンスは雇用の責任を取れ」と抗議デモをおこないました。シーメンスでは、労働者側との交渉で使用者側も解雇一時金や職業訓練を含めた「社会計画」を作成することは約束しています。
ドイツでは携帯電話世界一のフィンランドの会社、ノキアがルーマニアに工場を移転するとしてボッフム工場の二千三百人解雇を一月に発表したばかりで、ボッフムでも工場移転反対闘争が地域の自治体を巻き込んで盛り上がっています。(片岡正明)
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