テキスト第2章「日米経済関係はどう変わったか」の後半を読む。
「3、2000年代・日米多国籍企業の政治支配」。
2001年6月の日米首脳会談で、「成長のための日米経済パートナーシップ」の立ち上げが合意されるが、これは様々なレベルで「民間部門からの意見導入」を組み込むもので、内容を決定する根本の原動力は民間企業にあるものとなっている。
1994年からは日米双方による「年次改革要望書」が毎年出されているが、実態はアメリカからの一方的な要望となっている。過去のアメリカ側の大きな成果に「郵政民営化」があり、さらに現在の重要焦点に「混合診療」(保険医療範囲の限定と無保険高度医療の導入)がすえられている。
他方、日本国内からも「株式会社病院」を認めさせる規制緩和の声があがっている。
関連して防衛産業「山田洋行」による守屋防衛次官の「買収」に見られる、大企業と政治家(官僚)との関係についてもふれる。
「4、米・日・アジアにおける多国籍企業の支配」。
日本の貿易・投資相手国として東アジアの地位が上昇しており、製造業大企業613社の輸出に占める企業内取り引き比率は70.1%に達している。またこのような日本を含む生産工程の国際分業とともに、東アジア諸国のみで完結する生産工程の分業も進んでいる。
これは東アジア各国間の貿易の内実に大きな影響を与えている。
この東アジア生産ネットワークの自由度をさらに高めるために、財界は貿易の自由化を柱とするFTA(自由貿易協定)を含み、さらに投資の自由化を加えたEPA(経済連携協定)の多角的締結を求めている。
この11月にも、ASEANと日本とのEPA協定が最終合意に達したばかり。
東アジアの「統合」は、経済が先行し、特に日本については政治が遅れてきた。安倍政権から福田政権への転換の1つの要因は、政治の共同を求める財界から政府・政権党へのはたらきかけであったと思われる。
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